2024年4月19日(金)

ブルキナファソ見聞録

2014年5月12日

 事実、途上国でのバス事故は多い。先日はブルキナファソとトーゴを結ぶ道路で、夜間の大きな交通事故があり、ブルキナファソ人20名以上を含む方が亡くなり、大きなニュースになった。亡くなった方の多くが商人だったこともあり、ワガドゥグ市内の市場が喪に服して1日閉鎖された。続いて、国内での複数の死亡事故も発生し、連日どこかで事故が起きているような状況である。

工事中の道路

 赴任した当初、主要都市を結ぶ幹線道路が意外にも綺麗で驚いたものだったが、1度の雨期ならぬ1度の大雨でも傷みが進み、すぐに穴が開く。道路の施工もさることながら、過載積のトラックが多いのも大きな要因で、輸送手段が限られていることが拍車をかけている。今回の旅では、帰路は車で帰ってきたのだが、道路の改修が至るところで行われており、迂回路が設けられていたり、穴がぼこぼこ開いている道を走るので、時間の面でも安全の面でも課題は大きい。費用の嵩む道路整備は国家予算だけでは賄えないため、国際機関や他国の支援で実施していることが多く、例えばワガドゥグ-ボボデュラッソ間のメインの道路改修には世界銀行やEUの支援が入っている。

「プロジェクトの効果」を詳しく報じた新聞

 ブルキナファソにとって、港と繋がる道路や鉄道は経済の生命線である。ぽつんと取り残されず、域内経済にしっかりと組み込まれるように、日本の協力計画も進んでいる。西アフリカとしての地域発展は、日本の協力だけでは対応できない規模のチャレンジながら、他国や民間やブルキナファソ自身の努力が合わさって、いくつもの相乗効果が生まれれば、と思う。

 つい先日の経済系の新聞には、今回の鉄道計画に関して、起工式がありました、というだけでなく、「プロジェクトの効果」が太字でしっかりかかれていた。「最大の利点は、この地域の拠点を結ぶ交通網が実現すること。ブルキナファソやニジェールといった内陸国にある資源が直接沿岸国の港へ輸送でき、家畜や農産品などが2つの方面に向けて自由に輸送できるようになる。雇用創出、人やモノの行き来の改善、商品の輸送コストの削減、道路交通網の保護などを通じた持続的な開発に繋がる」。経済紙という性格はあるだろうが、ここまで1つのプロジェクトの効果についてきっちり書いた記事は他の紙面ではあまり見たことがない。

 こういう観点が周知されることで、域内インフラの重要性が広く認知され、今度は頓挫しないように直接的にも間接的にも計画推進に繋がればな、と願う。

 今回起工式のあった対象区間の工事は、2年後の完成が目指されている(いや、本音を言えばもう少しかかるだろう。頑張れ)。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る