インターネットをどう管理するか
イベント「Net Mundial」
ブラジルの試みはつまるところ、インターネットの管理をめぐる一つの抵抗であり提案だ。インターネットをめぐっては世界各国がルールづくりに必死になって取り組んでいる。marco civil 法案可決の翌日である4月23日と24日の2日間、ブラジルはサンパウロにて「Net Mundial」というイベントが開催された (http://netmundial.br/)。このイベントはインターネットガバナンスに関する単発のもので、正式名称が「今後のインターネットガバナンスに関するグローバルマルチステークホルダー会合(Global Multistakeholder Meeting on the Future of Internet Governance)」であり、愛称として「NETmundial」と名付けられている(Mundialとは、ポルトガル語で「世界」を意味する)。
このイベントの趣旨は、ルセフ大統領およびブラジルを中心とした、インターネットガバナンスのルールづくりを議論することにある。イベント初日には、ルセフ大統領が前日に可決したmarco civil法案に調印することで、一極支配型のインターネットガバナンスに対する抵抗を示した。
インターネットガバナンスとは見慣れない言葉であるが、要するにインターネット管理の方法と捉えていただきたい。インターネットの歴史を辿れば、「.jp」や「.com」といったドメインと呼ばれるインターネット上の住所に関する管理なしにはネットが混乱するという理由から、長年IANA(Internet Assigned Numbers Authority) という組織がネットの根幹を管理・運営してきた。そしてネット人口の爆発的増加等を背景に1998年にICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という非営利組織へと発展した。
ただしICANNに対する反対も多い。というのも、ICANNは中立的な組織であるが、アメリカに本拠地があることと、米商務省との契約関係があることからアメリカとの関わりを指摘されているからだ。こうして世界各国からICANNのドメイン等のインターネット管理体制の見直しが要求されている(詳細は以下に詳しい https://www.nic.ad.jp/ja/governance/about.html)。
Net Mundialとは、こうしたインターネットのガバナンスに対する解決を試みるためのイベントであった。Net Mundialには各国の政府関係者、学者、技術者、市民社会等幅広い参加者が集まり、「マルチステークホルダー声明」と呼ばれるネットの分散型管理の方法を提案することとなった(詳しくは以下を参照 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1196.html)。