今年のノーベル平和賞を受賞した、ヴェネズエラの反体制派指導者マリア・コリナ・マチャド氏(58)が11日未明、ノルウェー・オスロに到着し、10カ月ぶりに公の場に姿を見せた。
マチャド氏は沿道に集まった支持者らに笑顔で応えたあと、BBCのインタビューに応じた。インタビューにはノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・ヴァトネ・フリドネス委員長が同席した。
マチャド氏はルーシー・ホッキングスBBC記者に対し、16カ月以上もの間、誰かを抱きしめたり、触れたりすることがなかったと明かし、家族らと再会できた喜びを語った。
ヴェネズエラで約2年にわたり身を隠していたマチャド氏は、3人の子どもの卒業式や結婚式に出席できず、「大きな罪悪感」を感じているとしつつ、子どもたちからたくさんの支えを得ているとも述べた。
そして、自分たちの大義のために全員が成し遂げてきたことを誇りに思うと付け加えた。
ノーベル平和賞の受賞については、ヴェネズエラに「大きな希望や熱意、より一層の結束」をもたらしていると、ノーベル委員会に感謝した。
一方で、どのようにノルウェーまでたどり着いたのか、渡航の詳細については語らなかった。
マチャド氏は、ヴェネズエラの現政権は「無実の人に国家テロリズムを行い、人道に対する罪を犯している」、ヴェネズエラは「テロを実行する国へと変貌」してしまったと強調した。
マチャド氏は自分たちの大義のために「自分が最も役立つ場所に身を置くつもり」だとし、逮捕されるリスクがあるもののヴェネズエラに帰国するつもりだと述べた。
マチャド氏らヴェネズエラの反体制派は、昨年7月の大統領選でニコラス・マドゥロ大統領が3選されたとの選管発表は不当だとし、独自の詳細な集計結果をインターネットで発表し続けた。マチャド氏は昨年8月以来、身の危険が高まっているとして、ヴェネズエラ国内で隠れて暮らしてきた。
マドゥロ政権は、マチャド氏が外国からの侵略行為を呼びかけたとして、逮捕すると繰り返し警告している。大統領選の結果に抗議したことをめぐっては、マチャド氏をテロリストと呼んでいる。
先月には、ヴェネズエラの検事総長が、マチャド氏はノルウェーに渡ってノーベル平和賞を受賞すれば逃亡犯とみなされ、「共謀、憎悪扇動、テロ行為」の罪に問われることになると述べていた。
そのため、マチャド氏のノルウェーへの渡航には困難とリスクが伴った。
マチャド氏がヴェネズエラに安全に帰国できるのかをめぐっては、さまざまな臆測が飛び交っている。
