仮に米国がイランに対して大きな経済打撃を与えることに成功したとしても、イランが屈服する保証はない。過去1年間に2度の戦争によって産業基盤が損なわれ、インフレが80~90%に達しているイラン経済は、トランプが2018年に最初の「最大限の圧力」作戦を開始した当時よりも遥かに深刻な危機にある。しかし、戦争によりさらに強硬姿勢を強めたイランは、自らの生存をかけた抵抗姿勢を強めている。
もし米国の圧力が効果を発揮し始めれば、イランは、既に脅しているように、事態をさらにエスカレートさせることを選択する可能性がある。湾岸地域全域のエネルギー・インフラへの攻撃を開始するかもしれない。
米国による今回のイラン経済的孤立化政策について、前向きに評価できる点は、少なくとも現時点では、トランプが軍事的なエスカレーションを進めることに余り意欲を持っていないことを示唆している点だ。しかし、この措置によって現在の膠着状態を終わらせられる可能性が低いことを考えれば、「経済的追放作戦」は、双方にとって最終的には交渉のテーブルに戻らざるを得ない道の上で、またしても危険な賭けに出ていることを意味する。
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イランを抑え込めるのか
8月24日、ベッセントは、イランの資金源を断つ「経済的追放作戦」として、二次制裁の拡大を発表した。主要な内容は①デジタル資産(暗号資産等)、技術、金(ゴールド)、航空、海運の5分野を標的に追加し、取引を行う第三国の企業や国に対して強力な二次制裁を発動することだ。イランと取引を続ける企業や国は、米ドルを基軸とする国際金融システムから排除される。
②イランの核・ミサイル技術の調達、石油収入の獲得およびサイバー攻撃を支援している世界各地の約60の団体、個人および船舶を新たに制裁対象にする。これには、イランが石油密輸のために利用してきた「シャドー・フリート」等も含まれる。
③イランへの一部の送金や、イランが米国の文化・学術システムへアクセスすることを許可していた一般ライセンスは停止される。
