さらに、④中国等を念頭に「米国の制裁が及ばない者はいない」と強調し、「イランが他国との取引で利用する重要な生命線を締め付け、経済的に孤立させる」としている。
ベッセントはこの措置を第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦になぞらえ、「経済的D デー」や「史上最大の金融攻勢」と表現しているが、余りに大袈裟で、戦闘的だ。軍事力で決着できなかった問題を経済制裁で動かそうとしているが、本来順序が逆ではないか。イラン戦争の膠着の末の措置である。
一般的にも、イランを抑え込むには不十分だと受け止められている。また、具体的措置は、今後随時出すのだろうが、今の時点では、最初の標的となったエジプト国営のミスル銀行の UAE支店に対する第二次制裁の他は、明らかではない。
ベッセントによる戦闘的、哲学的、運命的な寄稿
中間選挙を控えて焦るトランプとイラン戦争の失敗が益々明らかになっている。特に戦争の失敗は米国の威信を大きく傷つけている。
ベッセントは本件発表と同時に、フィナンシャル・タイムズに「経済D-D作戦が始まる」と題する記事を寄稿した。驚くほど、戦闘的、哲学的、運命的な言辞で、①イランは過去47年にわたり世界の邪悪勢力だったと決め付け、②前任者達がイランの脅威を管理することに堕したのに対し、トランプ大統領は脅威を根絶しようとしているのだと述べ、③イランとの宥和が安全な選択と考える国は考え直した方が良いと宣言している。
それはイランへの激しい憎悪に満ち、本当にベッセントが書いたのかと疑いたくなるが、恐らくミラーらの起案をベッセントが承認したのであろう。専門家や市場からは、懐疑論や冷ややかな受け止め方が出ているという。

