「同盟」の根源にあるのは、防衛・安全保障問題だが、会談前日の23日、スコット・ベッセント米財務長官は、米中両国が貿易戦争の「休戦」を来年1月まで延長すると発表、米中関係における経済重視の姿勢を改めて印象付けた。
両国間ではこれまで、中国側がレアアース(希土類)の対米輸出規制を緩和する見返りに、米側が一部の中国製品に対する関税を引き下げるという「休戦」が存在し、11月10日にその期限を迎えることになっていた。
また、中国側が最も神経をとがらせてきた米国の台湾に対する140億ドルの武器供与問題についても、首脳会談で取り上げられたが、その結果については依然として不透明なままで、“凍結状態”が続いている。
台湾問題では、習近平氏はさらに踏み込んで、トランプ氏に対し、「台湾独立」に反対するよう要求したと報じられた。これに対し、トランプ氏がどう答えたかは、米中両国ともに触れておらず、闇の中に葬られた形となっている。
さらに、今回の首脳会談で異常だったのは、会談内容について、米政府側は何も明らかにせず、中国外務省の発表のみに任せたことだった。ホワイトハウスで過去行われた各国首脳との会談で、ホスト側の米国が具体的内容を公表しなかったのは、おそらく今回が初めてだろう。
米国議会からも批判の声
トランプ氏の「友好国」と「同盟国」との混同は、2期目の大統領就任以来、特に目立っている。米国の同盟諸国に対する一連の辛辣な批判が、それを裏付けている。
地続きの重要な隣国で、核戦争に備えた「北米防空宇宙司令部」(NORAD)を共同運営するカナダへの最近の対応が、まさに好例だ。トランプ大統領は、カナダを米国の51番目の「州」として併合に意欲を示しただけでなく、去る8月には、カナダからの乳製品、アルコール、自動車部品などの輸入品の大部分に対し、50%の追加関税を発動。これに対し、カナダ側も、鉄鋼、木材、農業機械などの米国製品に報復関税を課すなど、両国関係を悪化させてきた。
大統領はこのほか、同じ同盟国の韓国を「対イラン軍事作戦への協力を拒んでいる」として、厳しい口調で批判したほか、北大西洋条約機構(NATO)との間でも、防衛分担などをめぐって軋轢を生じさせてきている。
「友好国」に過ぎない中国には秋波を送り続ける一方、「同盟諸国」との関係をないがしろにするトランプ外交については、米議会共和党議員の間でも批判の声が挙がっている。
トム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州選出)は、「トランプ大統領が選挙戦で掲げていた厳格な対中政策方針と、直近の習近平国家主席に対する『友情』の強調や手厚い歓待ぶりとは矛盾している」として、批判のコメントを発表した。
同じ共和党のロジャー・ウィッカー上院議員(ミシシッピ州選出)も、今回の米中首脳会談に先立ち、習近平氏を「独裁者」と形容し、「米国は人権問題や安全保障上の『脅威』について中国側に妥協すべきではない」とくぎを刺していた。
