2024年6月16日(日)

中国メディアは何を報じているか

2014年10月9日

10月3日付『解放軍報』1面紙面

 授業では党史、軍事史、民族精神、神聖な使命、愛国貢献、愛軍尚武、規律・法規遵守等の専門課題等の講義が行われていて軍の忠誠を確保し、絶対的な純潔性を保持し、信頼に足る部隊であることが確保されるものとなっている。授業で用いられる宣伝映像は90分程度で、軍において兵士たちが自分の成長に必要な政治的思想の素養の「座標」を提示しており、兵士からは自分の将来像を描けるようになっていると評判は上々だ。兵士たちは艱難でリスクの伴う任務の前には入党宣誓が行われ、「軍の魂」教育が脳裏に刻まれ、心に染み入るよう試みられているという。つまり香港駐屯部隊の政治的信念は断固たるもので、いざ出陣というときに迷いなく出動して任務を全うできる存在だと自画自賛しているわけだ。

 この二つの記事を見れば中国における群集騒乱への武力行使についての考え方が日本などとはかなり異なる事が分かる。まず、中国においては中国共産党の一党支配、香港との関係では「国家の統一」が最優先事項であり、市民の流血回避が一番ではないという点を踏まえておくべきだ。武警と解放軍(香港駐留部隊)では武警が動員される可能性が高いだろう。現に中国との境界に近い深圳市側で武警の暴徒鎮圧訓練が激写されネットに写真が出回っている。

天安門事件から中国政府が得た教訓

 今回の「セントラル占拠」、「行政長官辞任要求」は、天安門事件以来最大規模で深刻なデモとされるが、中国政府からすればこのような群集騒擾事件は中国国内で毎週のように起きている。群集騒擾事件は中国国内では「群体性事件」と呼ばれ、大小合わせて年間10万件を超えるとも言われる。中国社会科学院法学研究所の調査では2000年から2013年の間に起きた100人以上の参与があった群集騒擾事件に限っても871件も起きている(『新京報』ネット版・2014年2月21日)。ウイグルやチベットで頻発する暴動に武警が投入され流血にまで発展しているのはここ数年毎年のことだ。こうしてみると群集騒擾事件に武警が動員される、すなわち武力行使される事態は中国国内ではそれほど珍しい事ではないのである。

 天安門事件から中国政府が得た教訓は日本で理解されるような民主化を求める若者たちの犠牲という失敗ではなく、力によって騒乱を押さえ込み、共産党一党支配を守り、その後の高度経済成長路線に繋げたという成功の経験なのだ。


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