実はこれもまた、中国が安倍首相との会談に応じる理由の一つであろうと考えられる。このようなメインテーマを掲げた以上、アジアの主要国の日本とは「後ろ向き」の問題で対立ばかりして首脳会談も行わないような状況は中国とっては都合が悪い。それでは「未来志向のアジア・太平洋パートナーシップ構築」は辻褄が合わず、説得力に欠けるのである。
5. 習近平指導部が日本との首脳会談開催に傾いたより深層的な背景については、10月23日掲載のコラム「中華思想に基づく習近平の上目線外交」で詳しく分析しているのでご参考に読んでいただきたい。
6. ただし、「日中首脳会談」の実現と言っても、必ずしも習近平主席と安倍首相との単独会談であるとは限らない。たとえば李克強首相が会談に出るのも「首脳会談」となるし、あるいは別の国々の首脳を交えての「集団会談」も一つの可能性として考えられる。もろちん、何らかの形での「非公式会談」も中国にとっての選択肢の一つとなりうる。
以上が日中首脳会談実現の見通しに関する状況分析であるが、ここで改めて強調しておきたいのは、中国側としては日本との首脳会談を真剣に考えざるを得ない立場であるので、日本側は会談実現のために一方的に譲歩する必要はまったくない、とのことである。
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