SONYのペット型ロボット「AIBO」も、
2014年夏にサポート終了
今年ネットで話題になった「世の中から消えてしまうもの」のもう一つの例に、SONYのペット型ロボット「AIBO」を挙げたい。
2014年7月、生産元であるSONYがサポートサービスを終了した「AIBO」。ゲームやパソコンと同じように、「AIBO」も故障することがあるが、そのたび修理に出すことで、その「命」は永遠かと思われていた。しかし、販売元がサポートやサービスを終了すれば、その時点で延命措置は受けられなくなる。当たり前のことなのだが、私たちはどこかで「ロボットはずっと動き続けることができる」と思っていたところもあり、この事実はネットでも大きな反響を呼んだ。
AIBO、君を死なせない 修理サポート終了、「飼い主」の悲しみ(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/43886
「AIBO」が発売されたのは今からちょうど15年前。15歳というと犬の平均寿命とほぼ変わらない年齢だが、SONYは2006年にはロボット事業から撤退したにもかかわらず、この15年間ずっとサポートサービスを継続させていた。そこにはSONYによる「AIBO」の「飼い主」への配慮があったのかもしれない。
しかし、今年の夏、そのサポートもとうとう終了することとなった。ネットでは「飼い主」たちの悲しみの声が多数寄せられ、話題になることで「AIBO」もまた「ジャポニカ学習帳」と同じように「世の中から消えてしまうもの」として多くの人に惜しまれることとなった。
「終わりを知らせる」という
インターネットのもう一つの役割
最先端のサービスや商品を、新聞やテレビよりも早く世に届けるのがインターネットの役割だと筆者は認識している。そこに「振り返り」という概念はほとんど存在せず、これまでもインターネットはひたすら「新しいもの」を追い続けてきた。
しかしITバブルが崩壊した2000年から約15年が経ち、SNSが普及したことにより、インターネットにももう一つの役割が生まれてきたように感じる。それが「終わりを知らせる」役割だ。テクノロジーの進歩や人の趣味・嗜好の変化によって廃れていった商品やサービス、ビジネスは数知れないが、ひっそりと姿を消すことになったそれらに今一度スポットを当てることで、初めてインターネットから情緒や感傷といった感情が芽生えるのではないだろうか。
新たなサービスが生まれる一方で、別のサービスや商品が姿を消していく。生物の「命の循環」とは異なるところで生じる「消費の循環」にスポットを当てることで、古くから「もの」に「命」を宿してきた日本人ならではの情緒が再び生まれると信じている。
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