経済の常識 VS 政策の非常識

2015年1月1日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 シンポジュウムに参加して思ったことは、どの国もあまり率直に真実を語らないものらしいということだ。韓国の合計特殊出生率は今や1.1台だが、1.4で社会保障支出を推計していた。高齢者への社会保障の現役世代への負担が増えないように計算するためだろう。日本も同じようなことをしていた。役人の考えることはどこでも同じであるらしい。

世界から学ばなくなった日本

 日本政府はOECD諸国を中心に20か国以上が参加しているルクセンブルグ所得研究プロジェクトにも参加していなかった。最近になって、慶応大学がパネル調査のデータを提供しているが、他の国が政府のデータを提供しているのに、日本は政府統計のデータを提供していない。これだけ多くの人が格差について盛んに語っているにもかかわらずである。世界の状況を知れば、日本でどうしたら良いか、少しは知恵も出てくるものだろうにである。

 日本は、1980年代まで、世界のもっとも優れた経験(失敗もまた優れた経験になりうる)から学び、もっとも優れた解決策を得ようと努力してきたと私は思う。ところが、90年代からそのような心を忘れたようである。不良債権処理では、80年代のアメリカ貯蓄貸付組合の失敗、80年代末から90年代初の北欧のバブル崩壊の後始末という手本があったが、日本は何も学ばず、先送りしていただけだった。

 今になって、太陽光発電買取り制度は買取り価格を高く設定しすぎて失敗だと言って、買い取り量を抑え、価格を下げようとしている。それは民主党政権時代に決めたことではあるが、具体的に決めたのは役人である。民主党の政治家が、できるだけ高く買えと言ったのかもしれないが、問題を指摘することはできた。当時、すでに、ドイツやスペインなどで高すぎるという議論はあった。どういう制度にするべきか、他国の経験から学ぶことができたはずだが、何も学ばなかった。

 そのあげくの課題先進国論だが、そうであるなら、まず重要課題の国際的討議の場に赴かなくてはならない。それもしないで、日本がそんな先進国になれるはずはない。

  
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