オトナの教養 週末の一冊

2015年1月30日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

ジャーナリスト

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスク、調査研究本部主任研究員などを経て2017年4月より読売新聞東京本社メディア局編集部次長。『御社の寿命』、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』、(いずれも中央公論新社)など

――人が頑張ってやってきた仕事を、機械がとってかわる時代になったということでしょうか。

太田肇氏

太田:そうです。一定のゴールや答えが見えていて、ただそちらの方向に進めばいいというのは、機械やコンピューターが一番得意とするところです。これにはIT(情報技術)革命が大きかったと思います。IT革命というと「今頃、何を言っているのか。20年前からある話ではないか」と言われるかもしれませんが、ITが人の能力に取って代わるスピードは加速度的に大きくなってきています。今は人工知能で、小説までコンピューターが書く時代です。私はそうした面を軽視してはいけないと考えます。本当の意味で世の中が変わってきたのは21世紀に入ってからだと思います。

――「努力の質」を向上させるために、日常生活で実践するとしたら何が重要なのでしょうか。

太田:仕事でしたら、優先順位をはっきりさせることだと思います。重要性をしっかり判断して、無駄な仕事は捨てるか、後回しにする。あるいは機械やITにできることはそれに任せる。人間特有のクリエイティブな能力を発揮出来る部分、そこに能力とエネルギーを集中させることが大切です。

――長い間の日本の伝統的な職業倫理や勤労意識の中に、「若いうちは無駄なことも積極的にやれ」みたいな風潮がまだ残っています。こうした意識の部分まで見直すべきなのでしょうか。

太田:私は見直すべきだと思います。確かに、長い間いわれてきた道徳観だとか倫理観の厚いカベがあり、それに逆らうようなことをいうと「何事か」と怒られますが、努力の質を上げるという点では、思い切ってそうした面までメスを入れるべきではないでしょうか。

――そうでないと生産性はあがらないということですか。

太田:そうです。成果につながらない無駄な努力は考え直す。時間も労働力も有限ですから、精神主義のような部分は考え直さないといけない。疲弊するだけで成果があがらなければ、過労死にもつながりかねない。「ブラック企業」なるものが生まれてくる背景には、無駄な精神主義みたいなものが背後にあるからだと思います。日本のビジネス社会がそれをなかなか変えられないのは、そうした風潮を許す人事システムなどがあるからだと思います。

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