世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月27日

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 上記論説で、フォンテインは、米印関係強化の重要性を強調しています。米国の対印関係強化への転換は、ブッシュ政権の時代にさかのぼります。中国の台頭を踏まえたバランス戦略として、自然な政策決定でした。その後、日本等も、対印関係強化に努めていることは良いことです。なお、インドとの関係強化が、中国に過度の懸念を与えないように考慮していくことも重要でしょう。

 中国は、増大する力を以て、最近では、南西アジアや中東方面に向けて、一帯一路構想を打ち出し、その実現のために、シルクロード基金やアジア・インフラ投資銀行の設立などイニシャティブを着々と進めています。中国が自ら「大国外交」を標榜していることと相俟って、中国の行動に一定の不安感を覚えさせられることも理由のないことではありません。

 他方、フォンテインは、記事の中で、インドの外交に一抹の不満ものぞかせています。米印二国関係が漂流し、なかなか具体的な強化がなされなかったと言います。更に、インドが経済利益の最大化を主眼とするため、中国を含めあらゆる国との関係強化(全方位外交)に努めているとして、南シナ海問題等議論のある重要国際問題について、主要国としてきちっと旗色を鮮明にしていない旨述べています。最近、多少の変化はありましたが、気候変動やWTOの問題等についても、インドは新興国として自己利益を守るため、頑として国際協調に加わることを拒否してきました。

 インド識者の間では、インド大国論を余り叫ぶべきではないとする議論があると聞きます。立場の鮮明化や国際責任が求められるからです。フォンテインが、インドはこれから何時まで、このように多くの外交目的を同時にやりくりして自己利益を最大化していこうとするのか、見て行かねばならないとの趣旨を述べて記事を締めくくるのは、興味深いものです。

 なお、今回のオバマ大統領の訪印で、米国の原子力技術供与の問題について合意ができ、今後、米企業の原子力建設の進出が可能となったと報じられていますが、これは米印関係の強化に大きく貢献すると思われます。

  
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