2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月15日

 バーグステン米ピーターソン国際経済研究所名誉理事長が、3月15日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、中国のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)構想に、米国は参加すべきであると主張しています。

 すなわち、AIIBは米中を対立させるばかりか、米国と同盟国の間の不協和音にもなっている。米は、AIIBに反対するという立場から、最近の英国の参加決定に怒っている。

 中国と20のアジアの国々は昨年10月銀行設立に合意した。中国が資本金の大半を負担し、第2の株主のインドやクウェート、カタールというアラブの2か国などが創立メンバーになっている。米国は、豪州、韓国、英国など欧州諸国に対しこの構想に加わらないように働きかけてきた。

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 米国は、世銀やアジア開発銀行があるので、新たな開発金融機関は必要ないと主張している。中国は国際貸付規範を無視し、中国の政治的、軍事的権益を推進するような案件を支持していくのではないかとの批判も出ている。

 しかし、米国が反対の立場をとることは間違いである。既存の金融機関だけでは莫大なインフラ需要を賄いきれない。透明性、調達、腐敗に関する基準についての懸念はわかるが、参加して内部から働きかけを行うべきだ。外から批判したほうが効果的だというのはナンセンスだ。

 最も重要なことは、この問題が、21世紀の世界経済の主導権を巡る争いとなってしまっていることだ。過去70年の国際制度を中国も支持すべきだと米国が主張するのは当然だが、中国が現下の体制に挑戦し秩序の修正をしようとするのも当然なことである。

 中国に一層大きな国際的役割を求めながら、他方で、AIIBの推進を阻止するのは「近視眼的で偽善的」だ。IMFの割り当て改正合意について米議会を説得できずにいることやADBの増資について米国が反対していることを考えると尚更である。

 英国等の参加決定は賢明だ。米国は立場を撤回し銀行に参加すべきだ。議会に対して少数株主に必要な予算を求めるべきだ。米国は世銀その他国際機関がこの銀行に対し緊密に協力するよう仕向けるべきである、と述べています。

出 典:Fred Bergsten ‘US should work with the Asian Infrastructure Investment Bank’(Financial Times, March 15, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/4937bbde-c9a8-11e4-a2d9-00144feab7de.html#axzz3Un1HfYEN

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 上記バーグステンの論説では、なぜ米国が参加すべきなのかは、十分に説得されません。中国はGDPに従って出資比率を決めると言っているので、米国が少数株主として参加することがそもそも可能かどうかも分かりません。


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