世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月15日

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 AIIB設立に向けての中国のやり方は、国際機関設立の交渉プロセスとしては、極めて異例です。通常、IMFや世銀、GATT、国連は、ブレトンウッズ、ダンバートンオークスなどの国際会議を開催し、関係国の間の緊密な協議と交渉を経て実現しました。しかし、AIIBは、そのような協議、交渉はほとんどなく、もっぱら中国による、いわば一方的なプロセスで作られた構想です。しかも、中国は50%の圧倒的な議決権を持つことを決めています。更に、本部は北京に置き、初代総裁に中国人を当てることも既に決まっているようです。中国は、貧困削減は世銀やアジ銀に任せ、AIIBはインフラ投資をすると言いますが、既存の機関もインフラ投資をやっています。AIIBは既存の体制に挑戦することに主眼があると受け止められるのも理由のないことではありません。

 他方、中国に同情すべき点もあります。IMF割り当て改正が米議会の反対のため未だに実現していないことやアジ銀の増資が進まないことです。国際制度の信頼性を維持するためには、世界の現状を反映するように、制度を変革していかなければなりません。国連安保理改革も同様の問題です。そのためには、必要に応じ柔軟でなければなりません。

 AIIBは、どんどん実現に近づいています。3月12日に、英国は突如AIIB参加を発表し、それがドミノを引き起こしています。3月17日には、独仏伊3か国が、参加の意向を明らかにしました。

 中国は一層自信を深めているでしょう。中国は、AIIB実現のため、国の威信をかけ、経済力をフルに使って関係国に参加を迫ってきました。

 日本については、一部に参加すべきだとの議論もありますが、日中関係の現状もあり、当面、慎重論を維持していくということでしょうか。同時に、次の点が重要と考えられます。

 まず、AIIBが一定の基準を満たす融資機関になるよう、アジ銀や世銀がAIIBに関与していくことを求め、それを支持していくことです。

 次に、アジ銀の改革や強化を図るとともに、IMF割り当て改革の早期発効のために力を貸していくことです。

 更に、中国とも関与しつつ、欧州との対話を一層進めることです。欧州は中国に対して政治、安全保障よりも経済実利で動いています。欧州にアジアの実情をもっと伝えて行かなければなりません。

  
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