2024年4月20日(土)

安保激変

2015年6月12日

 ここで自衛隊の受け入れに同意する組織として想定されているのは国家である。例えば、中央政府が受け入れに同意していても、実際に自衛隊が活動する地域は反政府勢力が幅を利かせていて、中央政府の意向に従うか分からない、といった場合は想定されていない。これは、現在の国連平和維持活動が抱える課題を考慮していない、時代遅れの認識だ。

「武力行使との一体化を回避する」
非現実的な前提を変えられない日本

 そして最大の問題は自衛隊の活動については、日本防衛以外の状況で、限定的な範囲で集団的自衛権の行使を行う場合以外は、「武力行使との一体化を回避する」という基本的な前提に全く変化がないことだ。「武力行使との一体化」、アメリカ人で日本の安全保障政策に詳しい人にも「イッタイカ」として知られている問題は、単純化して言うと、他国の軍隊が「武力行使」(分かりやすく言うと「戦闘行為」「武力攻撃」)しようとする際に、これに直接繋がるような行動を自衛隊が取ることは、「専守防衛」という戦後の安全保障政策の根幹に反するものであり、認められないという、これまでの日本政府が一貫して取ってきた立場である。

 このため、任務そのものは「補給」や「医療支援」など戦闘行為には当たらないものであっても、海外で戦闘行動をしている外国の軍隊にはそのような支援は一切提供できないという見解がこれまで取られてきている。そしてこのことによって、これまで、例えば、イラクにおける多国間支援の一環として日本が航空自衛隊を派遣した際に「武器・弾薬や兵隊の輸送はできない」という制限がかけられるなどしてきている。日本から米国に伝達した情報をもとに米国が相手に反撃をする場合は「武力行使との一体化」につながるのではないか、という議論も、一昔前には国会で取り上げられた。この「一体化」という概念は「日本でのみ通用する基準」「現実から乖離している」と批判の対象になってきた。


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