新アメリカ安全保障センター(CNAS)のリチャード・フォンテイン代表が、6月18日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、中国、北朝鮮とのバランスをとるためには、日本と韓国は北東アジアに平和と繁栄をもたらす自然の同盟国である、との論説を寄せ、日韓の関係改善への期待を表明しています。
日韓は国交正常化50周年を迎えたが両国関係は正常ではない。「慰安婦問題」その他についての緊張で、アジアにおける米国の2つの同盟国の関係は毒々しいものになっている。これは地域で安保と経済的紐帯を強め、中国に対抗する米国の努力を害している。
韓国外相の4年ぶりの訪日など、雪解けの兆しはあるが、歴史問題は竹島・独島問題を複雑にし、日韓両首脳は会ったこともない。
その結果、両国の世論はお互いに厳しくなり、特に韓国では戦略的な姿勢に変化が出てきている。日韓の共同世論調査では、多くの韓国人が中国よりも日本からの軍事的脅威があると考え、3分の1の韓国人が将来、日本との軍事紛争があると予測している。両国の悪い関係は、地域の安保・経済協力を困難にし、もっと重要な問題から注意をそらさせる。
最近、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイルの実験をしたと主張し、核の小型化も進めている。韓国は安保上の関心を東ではなく、北に向けるべきである。
中国は、東シナ海のADIZ(防空識別圏)設定を含め、自己主張を強めている。韓国は中国を敵にしないことに利益があり、良い中韓関係は北朝鮮への圧力にもなる。しかし中国のADIZは韓国の空域をも侵犯している、中国は米国のミサイル防衛の韓国配備をやめるようにと圧力を加えている。韓国も中国の強制的圧力の対象である。
それで今、日韓間に限定的な雪解けの兆しがあるのだろう。昨年12月、両国は北朝鮮に関する情報を共有する合意をした。5月には財務相会談と防衛相会談があった。新駐日大使は11月までには日韓首脳会談が期待されると言っている。
韓国高官は2トラック・アプローチで歴史・領土問題を安保・経済協力から切り離したいとのサインを送っているが、道は遠い。先の調査によれば、日韓双方の国民の多数が互いに否定的な感情を持っている。日本への憎しみが韓国を中国の側に押しやってはいないが、中国は日韓間にくさびを打ち込むチャンスを活用している。