朝鮮半島で軍事衝突があれば、日本には果たすべき役割がある。そのシナリオを両国は討議すべきである。米国は日韓関係改善に重要な役割を果たしうる。オバマ大統領は昨年ハーグで朴、安倍との三者首脳会談をホストした。日韓協力があれば、同盟はより強くなる。
北朝鮮の脅威と中国の挑戦への最善の対抗策は、民主的な同盟国が共同対処することである。朴大統領は「協力を必要とする問題で未来志向の対日関係」を築く必要を強調した。米国にとり同盟関係を強化するチャンスである、と論じています。
出典:Richard Fontaine,‘Counterbalancing China and North Korea’(Wall Street Journal, June 18, 2015)
http://www.wsj.com/articles/counterbalancing-china-and-north-korea-1434649202
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米国のアジア政策展開の上で日韓という米国の2つの同盟国が相互に協力することが望ましいのは言うまでもないことですから、米国として日韓関係の改善を希望するのは当然のことです。
しかし、単なる希望の表明をしても事態は改善しないことに、米国はそろそろ気づいてもいいのではないでしょうか。なぜ日韓関係が今のような状況になっているのか、それに、日韓両国はいかなる責任を負うべきなのかについて、判断し、政策を展開することが望まれます。
日韓国交正常化の際の条約で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたのであり、それを反故にすることは、日韓正常化の基本を揺るがします。日本としてそんなことはできません。それを米国も理解して然るべきでしょう。「慰安婦問題」については、日本はこれまでに謝罪もしてきましたし、償い金を支払う用意も示してきました。にもかかわらず韓国は何度も蒸し返し、国家責任を認めることとその証左としての賠償を要求するなど、無理難題を要求しています。
韓国は、「歴史問題」を国内政治上の人気取りや対日外交での無理を通すために使っています。日本の産業革命遺産の世界遺産としての登録を邪魔したり、日本海という呼称を変えるように要求するなど、韓国側の対日姿勢にはかなり問題があります。対中姿勢も事大主義的です。論説が挙げている、中国より日本を脅威とするような韓国世論のあり方は、日本だけでなく、米国にとっても極めて深刻と言わざるを得ません。韓国は、日本の集団的自衛権行使容認にも批判的であり、朝鮮半島有事の際の対応にも影響が出る可能性が排除できません。
米国としては、こういう点についてそれなりの判断をし、その上で日韓双方に必要な働きかけをするのが適切でしょう。日韓どちらが理不尽であるのかの判断をせずに、双方に関係改善を求めても効果はないと思います。
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