2024年5月26日(日)

Wedge REPORT

2015年8月12日

 浜通りに住みたいとは思えない。この意見を受けて地元の高校生はどのように感じたのか。相馬高校に通う3年生、太田魁世さん(18)に、サミット終了後に感想を聞いてみた。すると、「震災を経験していない高校生と話して、被災者の気持ちを理解していないと感じたこともありました。でも、もし自分も同じ立場だったら『福島には住みたくない』と思っていたのかもしれない。発見があったので参加して本当に良かったです」と教えてくれた。

 とはいえ「浜通りには住みたくない」と言われると腹立たしい部分も当然ある。浜通りへの帰還が進んでいないとの報道もあるが、少しずつ避難した人が帰ってきている現状もある。原発の影響で帰還できない人だけではなく、震災後の4年間、自分のように相馬市に住み続けてきた人がいる事実にも目を向けてほしい。

 「浜通りも意外と安心して暮らせているんです。そのことをもっとメディアが伝えていって欲しい。そうすることによって、他県の人からも『住みたいなあ』と思ってもらえるような町にしていきたい」

 県外の高校生からは「浜通りにはいい部分もたくさんある」という声もあり、だからこそ多くの地域活性のための具体案が出た。

 実行委員長の西本由美子さん(62)は「海外や県外の高校生に現地を見てもらえたことが第一歩。復興は人と人との心のつながりのなかにあり、また福島に来てくれることが本当の福島の再生」と閉会の言葉を締めくくった。

 記者は最終日8日のみを取材したが、県外や海外の高校生と福島の高校生が生の交流をする中で、多くの発見をしたことがうかがえた。サミットの3日間では、外国人の高校生と英語でやり取りしなければならず、また国ごとに考え方も異なる。コミュニケーション上の難しさだけでなく、原発の話題は人の感情も考えなければならず、「理屈だけでは動かないこと」に討議することの難しさを感じたという参加者の声もあった。

アドバイザーとして集まった登壇者

 たまたま教頭先生がサミットの参加を勧めてくれたことや、他の国の人と話せるからという直接福島につながりのある動機では参加していなかった高校生が、終了後に「高校生として出来る範囲でエネルギー問題や復興を考えていきたい」と、福島を身近に感じ、高い意識をもつことができたことは意義深いことだ。

 また、今回のサミットが、かつて高校生として参加していた現・大学生が中心となって企画したことにもサミットの意味を感じた。学生代表の東北大学理学部4年の日置友智さんは「複雑化している問題を解決するには、他者と協力していくことが不可欠だということを高校生たちに伝えたかった」と教えてくれた。大学生も高校生も普段の学習の合間をぬい、福島の未来を考え、今回のサミットのために準備を進めてきた。

 震災から4年半が経とうとしているが、震災を契機として県外の高校生たちが地元の高校生と本音で議論を重ねた経験は今後、参加者が生きていくうえでも貴重な経験となると感じた。このサミットをきっかけとして、参加した高校生たちは福島県と県外との認識の差を埋めてゆくための「第一歩」を歩みだす。

  
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