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2015年10月19日

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ソラコムはIoTを可能にするか?

 ソラコムは、NTTドコモ(MNO)の基地局を利用するBのパターンのMVNOだが、通信交換機や課金・認証システムの機能を、専用のハードウェアではなく、アマゾンのAWSというクラウド上のソフトウェアで実現した。それによって、ハードウェアへの巨額の投資をしなくても済み、さらにシステムを効率的に運用できるという。

 ソラコムのデータ通信の利用料金は、他の格安SIMと比べて、それほど安いとはいえない。例えば、高速データ通信では、ソラコムは上り(端末からの送信)が1Mバイトあたり0.2円~0.3円、下りが0.2円~1円であるのに対し、同じようにNTTドコモの回線を利用する楽天モバイルのSIMは、上り下りに関係なく1Mバイトあたり0.23円~0.29円とあまり差がない。低速データ通信の場合は、ソラコム(128kbps)は、1Mバイトあたり上り0.2円~0.22円で下り0.2円~0.7円と高速の場合とあまり差がないのに対し、楽天モバイル(200kbps)は、月額525円で無制限のデータ通信が利用できる。

 しかし、ソラコムの利用料金は、すべてのSIMの合計のデータ通信量で計算されるので、IoT事業者は実際に使った分だけを支払えば良い。楽天モバイルの場合は、データ通信を行わなくても、SIMごとに月額525円からの定額が課金される。また、IoT事業者はソラコムのサービスを利用して、SIMの状態やデータ通信量を監視し、SIMごとのデータ通信速度の変更、使用開始/休止といった操作をすることによって、データ通信にかかる費用を最小限に抑えるための努力をすることができる。

 コネクテッド・ペダルは、実際に通信するデータ量が非常に少なくなるように設計されていると推測できる。ソラコムのSIMを組み込んだ場合、1Mバイトあたり0.2円とすれば、例えば年間20円で100Mバイトの通信ができる。半角文字にすれば1日平均で27万文字を送受信できる計算だ。これはコネクテッド・ペダルには十分すぎる通信量だろう。製品価格189ドルに、ペダルの耐用年数、例えば5年分の通信料金を含めるという考え方が可能になる。

 しかし、残念なことに、ソラコムのSIMには1日10円の基本料金がかかる。これでは完全な従量課金とはいえない。年間で3650円のコストでは、コネクテッド・ペダルのモデルは成り立たない。

 ソフトウェアでMVNOを実現したソラコムには、その柔軟性から大きな可能性を感じる。1日10円の基本料金を撤廃できれば、ソラコムは日本のモノのインターネットを可能にする「IoTイネーブラー」になるだろう。モノのインターネットのハードルを極端に下げて、ソラコムのSIMが入った無数のIoT端末から得られる通信料金での収益を目指すことはできないだろうか。あるいは、一定量の数や量を超え、成功したIoT事業者にロイヤルティを課したり、SIM管理などの無料サービスを有料にするなどのモデルも検討してほしい。

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