異年齢保育を実施するには保育士に高いスキルが必要
0歳と1歳、2歳でもそれぞれ発達に応じた遊びや生活の差が大きい。ましてや3歳、4歳、5歳が同じ部屋でずっと生活するのは現場から見れば現実的ではない。一般的に、異年齢保育を実施するには保育士に高いスキルが必要とされているため、ただでさえ有資格者の少ない小規模保育園で乳児と一緒に幼児を預かるのは、「ただ、預かるだけ」で、それぞれの年齢に応じた発達を促すことが難しくなるのではないだろうか。
詰め込み保育の状況を親が見れば「こんなところに預けて大丈夫だろうか」と悩み、結局は、転園を考えるか、転園できなければ母親が仕事を辞めるケースが目立ってきている。
そして、直接的な預け先の3点目の施策として「一時預かり事業の活用」がある。一時預かり、一時保育というものは、就労を目的としない冠婚葬祭やリフレッシュなどの目的で子どもを一時的に預ける制度となる。虐待予防や早期発見にもつながるとして、既存の保育園の一室だったり、NPO法人の運営する保育事業のなかなどで行われている。これも急場をしのぐには効果がありそうだが、もともと赤字になりがちな補助金の水準だということで、積極的には展開されていないため、焼け石に水となりそうだ。
その他、保育コンシェルジュの設置促進、企業内保育所のコーディネーターを配置するという項目もあるが、既存の施策で真新しいものではない。企業内保育所といっても、企業のなかにある保育所は少ない。厚労省のまとめでは「事業所内保育施設」とされ、2015年3月時点で4593カ所あるが、そのうち2811カ所が病院内保育所となる。
利用している児童の数も、看護師などが預ける病院内保育所のほうが圧倒的で5万5560人、他の事業所内保育所の利用人数はわずか1万8000人程度だ。自宅の近くにそうした保育所があれば良いかもしれないが、当たりは少ないだろう。