2024年12月23日(月)

人事は企業を変えられる

2016年6月16日

 東芝、三菱自動車と会社の存亡にかかわるような不正が続いている。

 不正が起こる会社に共通しているのは重大な問題があってもそれに蓋をして外に出ないように隠してしまう点だ。

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 例えば、人事に関する仕事をしていると「常習的にパワハラを繰り返している社員がいるが、成績が良く外したくない。どうしたらいいか」という相談を受けることがある。これこそ不正を起こす会社の体質を典型的に表している。

 会社の存続を考えるなら、何度も注意・指導をしても変わらない人物に業務を託していること自体、自殺行為に近く、あり得ない。根本的にはこれに経営トップが気づかない、気づいても見て見ぬ振りをすることに問題がある。

 こういった会社では、おそらく会議を開く時、異議があっても常に「全員賛成」でお開きになることが多いだろう。ビジネスの基本は他者との「違い」や「差異」を創出することだが、社内の会議でさえ問題提起が起きず、建設的な議論もできていないようでは、その会社の将来は危うい。

 不正が起こると出るのが「内部通報制度が機能しなかった」という意見だ。私は変えるべきは「制度」でなく「風土」で、その一歩目を踏み出せるのは経営トップだけだと思っている。

 それを私に身をもって示してくれたのが、ソニーを創業した井深大さんと盛田昭夫さんだった。現場を大事にし、見に行き、わからないことがあれば実際に赴き、誰がやっているのかを確認して、上司ではなく、担当者に直接尋ねるようにしていた。


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