WEDGE REPORT

2016年5月30日

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 連邦上院議員になってからもサンダース氏は常に「選挙戦の資金集め方法の改革」「企業の福利厚生の充実」「地球温暖化問題」「収入格差の是正」「LGBTの権利拡大」「育休制度の推進」などを訴えてきた。2003年のイラク戦争の際にも、当時上院議員だったクリントン氏は賛成したが、サンダース氏は真っ先に反対した。

 サンダース氏が訴えているのは「普通の国」になる、ということだ。国によるユニバーサル健康保険制度がない先進国は米国のみ、公立大学でさえ年間100万円を超える学費、というのも米国のみのシステムだ。一方で大企業のトップが年間に数十億ドルを稼ぎ、最下層の社員がフルで働いても低所得しか受けられない、という格差は広がる一方である。これを是正し、欧州各国が実現している無償の公立大学、社会保障の充実を目指そう、と訴えているのだ。

イデオロギーに根ざしていない、純粋なもの

 米国人は「サンダースの理想を実現するには金がかかりすぎる。金持ちへの課税を強めればタックスヘイブンに逃げる」という。しかし現状への不満は募る一方で、改革を求める声は強い。改革には痛みを伴うが、その先により不満のない社会が実現できるのであれば、サンダースに託しても良い、と考える若い層は増えている。

 サンダース人気で特筆すべきは、その人気がイデオロギーに根ざしていない、純粋なものだ、という点だ。

 サンダース氏はユダヤ系米国人である。ユダヤ系としては2000年の大統領選挙でアル・ゴア氏が副大統領候補にジョー・リーバーマン氏を指名し、「ユダヤ系初の」と話題になった。多民族国家である米国では、このように人種の問題が選挙では重要視される。オバマ大統領も黒人初、ということで多大な支持を得た。2008年当時はオバマを支持しない、と言うだけで「人種差別主義者」と言われたものだ。現在もヒラリー・クリントンは「女性初」であることが支持の大きな理由とされる。

 しかし、不思議なほどにサンダース氏に関してはユダヤ系であることが話題にならない。その人気は人柄、信念、政策によるもので、それゆえに求心力が大きい、とも言える。

 サンダース対トランプの討論会が実現すれば、高い視聴率をはじき出しその反響は大きいと予想されていた。それだけに土壇場でのトランプ氏の心変わりには批判が飛び交う。また討論を拒絶したクリントン氏はすでにネット上で叩かれており、自らを不利な立場に導いたとも言える。この討論拒絶が果たしてどんな結末へとつながるのか、目が離せそうにない。

  
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