チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年6月1日

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 また、中国が米国に対し、南シナ海問題と米中関係を分けて議論するよう提案してきていることも明らかにし、「我々はそんなことはできない。中国の行動は基本原則への挑戦で、見逃すことはできない」と強調した。

 もちろん演説の中では、カーター氏はアジア太平洋地域への米軍最新鋭のステルス駆逐艦を派遣するとの明言も忘れなかった。今後中国は、南シナ海においては米国製武器によって装備される強敵・ベトナムと対峙すると同時に、最新鋭の駆逐艦で武装される米軍の軍事的圧力に直面していくこととなる。中国が劣勢にあることは明らかであろう。

 こうした中で、冒頭に取り上げた伊勢志摩サミットの首脳宣言が発表された。宣言は穏やかな言葉遣いでありながら、先進7カ国の総意として、中国による南シナ海の軍事支配と秩序破壊に「NO」を突きつけた。このままでは、中国は世界一の軍事強国のアメリカと、アジア有数の軍事強国であるベトナムを相手に無謀な対決を強いられていくと同時に、世界の主要国の大半を敵に回してしまうようなことになりかねない。

 そして前述のように、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど東南アジアの主要国の多くは今、中国を「仮想敵」とした軍備強化に力を入れており、日本も、アメリカとの軍事同盟を基軸にして東南アジア諸国との軍事協力の強化に乗り出している。

 国際政治の駆け引きにおいても、軍事面においても、今の中国はまさに多勢に無勢、四面楚歌の状況下にあるのだ。

中国が狙う起死回生のチャンス

 このような状況の中で、中国は一体どうやって劣勢を挽回して包囲網を突破しようとするのか。

 習政権が起死回生の期待をかけるのは、今年9月に中国で開催される予定のG20首脳会議である。

 G20にはG7の他、中国・インド・ブラジルなどの新興国や、かつてのG8から離脱したロシアなどがいる。G7同様、この会合も参加国が順に議長国を務め開催地を提供することになっており、今年は中国の杭州で開催されることが決まっている。

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