福島県いわき市にある、塩屋埼灯台を撮影するために訪れた。この塩屋埼灯台は映画「喜びも悲しみも幾歳月」や美空ひばりの「みだれ髪」という楽曲でも有名である。2011年3月11日の東日本大震災発災の時、地震のため消灯し、約9カ月後の11月に再点灯した。
本灯台は白亜の大型灯台で、「日本の灯台50選」にも選ばれている美しい灯台である。まずはこの空撮映像をご覧いただきたい。
塩屋埼灯台は海抜73メートルの絶壁上にある。道路沿いの駐車場からこの断崖を登る階段を行くと、灯台の建物にたどり着く。駐車場の脇に2つの土産物店があり、その内の1軒の方にお話を伺った。高台の塩崎灯台は津波による被害はなかったが、土産物屋の足元には津波が迫ってきたという。「この場所は少し高くなっているし、地盤が強かったからか、店が無事でよかった」と優しく笑いながら話してくれた。軒先の良く見える場所に、震災前に撮影した薄磯地区の空撮写真が飾られていた。幾つか質問をすると、わざわざ取り外し説明をしてくれた。広い砂浜とたくさんの家々が並ぶ町。ここは有名な海水浴場で、砂浜に幾つもの「海の家」が並んでいた。
塩屋埼灯台はいわき市平薄磯地区に立っているが、灯台を挟んで、南が豊間地区、北側が薄磯地区である。東日本大震災でこの2つの地区は津波による甚大な被害を受けた。特に薄磯地区は120名以上の尊い命が犠牲となり、町にあった265世帯の家屋のほとんどが流されてしまった。