初めは誰しも「仕方ないからやろう……」といった、やらされている状態にあることがありますが、この状態から徐々に「一応やろう」→「とりあえずやろう」→「もう少しやろう」→「やってみるか」→「もっとやってみたいな」というように内発的な「やる気」へ変化していくことを明らかにしています。
ここで重要なことは、このように徐々に内発的にやる気が高まっていくには自己決定が必要になるということです。自分の決定や選択をしていく力が育っていく中で、徐々に内発的なやる気が高まっていくのです。これを「内在化」と呼びます。
たとえば、「上司にこの企画を成功させなさい。その際はこのように進行していきなさい。ホウ・レン・ソウを常に怠らないように」といった具合に、すべての決定や選択を他人がやってしまう作業や、こと細かく詳細まで行動を決められた作業は、どうしても内発的なやる気が上がりにくく、やる気も初めの一時しか上がらないといったことがよく起きます。
目標をやや低めに設定する
このようなときは、まずその状況下で何から始められるかを考え、第一歩目の目標をやや低めに設定し、自分でコントロールできることと、コントロールできないことを分析し、改めて自分のプランややり方、自分のペース配分、優先事項のリストアップや進め方の骨組みをイメージするところから始めていくようにします。
自己決定の質と、自己選択の質、自分の小さな目標や指標、成功イメージ、わずかなチャレンジができる進め方から始めていくことで、自分自身の気づきや発見・工夫が多くなり、少しずつ「やってみよう」という内発的なやる気が高まっていきます。
スタート時点においては、外発的なやる気でもかまいません。やらされている状態から、徐々に自ら進んで自分のペースで行動していく、内発的なやる気に高まっていくことが成功につながるのです。つまり、やる気を育てていく期間こそが、非常に重要なのです。
研究の結果、トップアスリートやトップビジネスパーソンたちは、前者の内発的なやる気をつくり出すことが上手いということがわかりました。また、その内発的なやる気を自分の中で育てていくことが習慣になっていることもわかりました。