2024年7月18日(木)

佐藤悦子 バランス・マネジメント

2010年3月16日

マイペースで長く楽しめる

 また、釣りやスノーボードは、家族と一緒に一生を通じて楽しむことができる点も魅力のひとつです。年末年始に海外のゲレンデに出かけると、おじいさんがお孫さんと一緒にスノーボードを楽しんでいる姿を見かけ微笑ましく思います。

 釣りは食育の面でもとてもよいことを先日も発見しました。3歳になる息子は、焼き魚や煮魚は食べますが、お鮨やお刺身など生魚は全く食べませんでした。3歳から積極的に生魚を食べなくてもいいかなと、あまり気にはしていませんでしたが、息子のお友達のご家族と鹿児島の海釣り公園に旅行した際、パパと一緒に自分で釣ったお魚を割烹で姿盛りにしてもらうと、美味しい、美味しいと感激しながら自らどんどん食べるではありませんか。驚きました。しかもお友達と抱き合って喜んで小躍りまでしています。エサを付けるところから参加し、あれだけ苦労して自分で釣ったものだからこそ、今、自分が食べているものは、どこから来てどうやって作られているかがわかり、自ずと食物に対する感謝も生まれ、残さず大切に食べようと思うのだなと、食育の大切さを再認識した次第です。

人間への深い愛に満ちている宮部作品

 アクティブなスポーツのほかには、独特の世界に引き込んでくれる、読書やコンテンポラリーアート、タカラヅカも大好きです。

 本は、宮部みゆきさんの作品の大ファン。その心に突き刺さるリアルな人間描写にくぎ付けにされっぱなしで、全ての作品に魅了されています。

 読書は、いつも通勤や夜寝る前やお風呂の中などで、欠かすことのない趣味のひとつで、さまざまな本を愛読してきているのでいますが、とりわけ宮部みゆきさんの作品についてはミステリー小説も時代小説も、本当に大好きなのです。宮部さんのお人柄なのだと思うのですが、物語の根底に、人間への深い愛が流れていて、そこに根差した大きなストーリー展開やその描写には、胸を強く打たれずにはいられません。

 本に限らず、映画などに対しても同じなのですが、実は私は最後まで救いのないような悲劇が苦手です。宮部さんの作品は、哀しい話も哀しいだけでは終わらず、何とも言えない読後感を味わうことができるのです。

 最も好きなのは『孤宿の人』(新潮社)です。江戸時代の四国の架空の藩の話、江戸で重大事件を起こしてそこへ島流しにされてきたお殿様と、そのお殿様の世話をすることになった「ホウ」という身寄りのない女の子のお話です。結局、そのお殿様は亡くなることになり、それはとても悲しい結末なのですが、「ホウ」とお殿様の心の交流が丁寧にそして温かく描かれていて、じんと胸にしみながら一縷の希望を感じさせられます。もともと「ホウ」は捨て子のために名前がありませんでした。まわりのひとたちはからかって、阿呆の「ホウ」と呼んでいたのですが、お殿様は『ホウ』は方角の『ホウ』だから彼女は自分の行くべきところがわかっているのだと言います。そして最後に自分の死が迫っていることを知るお殿様は亡くなる前にホウに暇を出し、「ホウという字は『方向の方』ではなくて、『宝の宝』」だと伝えるのです。

 このように宮部さんの作品はミステリー小説で、登場人物が何人も死んでいくような普通ならどうしようもなく暗くなってしまうところなのに、決して沈んだままの気持ちでは終わらないところが本当にすごいと思います。しかもその展開ぶりがとても早いのに、しっかりと心に熱くしみこんでくるのです。


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