2024年12月23日(月)

したたか者の流儀

2017年1月12日

 ロシア人の同僚が、産休から戻ったら聞いてみようと思うことがある。かの国の教科書には日露戦争の記述がないと読んだ。この戦争は日本では知らない人はいない。トルコやフィンランドでも有名で、世界有数の親日国になったそうだ。フィンランドには、日本海海戦の立役者東郷を記念したTOGOビールまであった。

日露戦争の宣戦布告が解けていない?

シクロ(iStock)

 かなり前に、旧ユーゴスラビアのモンテネグロに行くといったら、物知りの友人が「気を付けろ、あの国は日露戦争の時に、友国ロシアが日本と戦争状態となったとき宣戦布告をして以来まだ解けていない。日本人とわかれば殺されるか逮捕される」というのだ。一度はユーゴ連邦となり再度、モンテネグロになったので、そんな珍事もある。だとすれば日露戦争はあったという証だろう。

 敵がいれば見方もいる。敵の敵は味方だということもある。トルコのイスタンブールに、ペラパラスという超有名ホテルがあった。小が付くがアジアで最初のエレベーターが設置されたホテルだそうだ。アガサクリスティーのオリエント急行殺人事件はここで執筆された。現在は博物館になっているこのホテルに泊まったとき、粗相をしてしまったが、日本人と聞いて最善の対応をしてくれた。ホメイニ革命時、JALが躊躇したテヘランからの退去便を飛ばしたのはトルコ航空だそうだ。

 話は飛ぶが、昭和天皇の大喪の礼の際、参列者の席次トップはベルギーのボードワン国王にきまっていた。在位年数とアルファベットの組合せで公平に決めたことになっているが、一番の親日王室であったベルギー国王が最前列になるように決めたらしい。西欧型公平であり、この決定に卑下することはない。だがベルギー王室は戦後二回も生前退位のあった王室として、現在参考にしているようだが、退位の意味合いが全く違うことを知っているのか心配になる。

 話を戻す。『独りぼっちを笑うな』(角川oneテーマ21、蛭子 能収)という本が売れているが、国家としては同盟国のほかに親日家の多い国が少ないと困る。それも地球の裏側ではよくない。遠い親戚より近くの他人というが、近いところに友人の少ない日本だと困る。あちこち出張って、ご迷惑もおかけしたのが理由かもしれない。いいことはすぐ忘れ、嫌なことはなかなか忘れないのが人情だ。

 その印象を直そうとしても時間がかかるのは、人間同士の関係を見ればわかる。今売り出しのユーラシアのイアン・ブレーマー氏から直接聞いた話は、日露関係の強化は日本に有利だと。我々と会った後に、安倍晋三首相とも会うといっていたので、安倍さんもわが意を得たりだったのだろう。しかし、米・中・露は生臭すぎる気がする。そんな時に大切な国を忘れていることに気が付いた。


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