日本では、連日「働き方改革」について報道されているが、フランスでは、1月1日、「勤務時間外メール禁止法」がスタートした。これは、勤務時間外に仕事用の電子機器の「電源をオフにする権利」を従業員に与え、過労やストレスを軽減させる目的でつくられた労働改革法だ。
スマートフォンの利便性にあやかる一方、仕事と私生活の境界線が失われ、労働者の不満が爆発した。職場生活の質とリスク回避を追求するコンサルティング事務所「エレアス」が実施した昨年10月の調査によると、労働人口の37%が勤務時間外メールへの対応に追われていると答え、幹部クラスになると、その数字が44%に上っていたことが発覚した。
歯止めのきかない状況の中、労働法第55条第3項にある「労働における男女平等と労働の質」が見直され、昨夏、オランド大統領の「働き方改革」の一環として、新法が改正労働法に組み込まれた。
同法は、従業員50人以上の企業が対象で、運用は各社の判断に委ねられる。メールやSMSなどが勤務時間外に送られてきても、読む読まないは社員の自由。メールを開封しなくても罰せられないのが特徴である。
ECサイト「プライスミニスター」に勤務するアレクシア・ルフブル氏は1日に数百通のメールを受信する。「仕事メールは、週末も含めて毎日、休まずに読める」と皮肉り、「敢えて、読まない時間を作らなければならない」と答えた。
同じく、勤務時間外メール禁止法が施行されたことで、恩恵を受ける労働者は多い。