世界の記述

2017年2月20日

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 テレコム会社「ウーロップ」に勤めるビルジニ・レブレ氏(32)は、公共ラジオに向け、「プライベートをきちんと楽しむことによって、仕事に集中でき、効率も上がる。働き続けるためのモチベーションになる」と話し、仕事のめりはりの重要性を訴えた。

 しかし、デジタル情報化社会の中で、勤務時間外のメールに応じないことで生じる問題も懸念されている。

 26万人の従業員を持つフランス郵政公社「ラ・ポスト」に勤務するフロリアン氏(42)は、こう話す。

 「会社のメールに勤務時間以降に対応しない場合、緊急の郵便に間に合わないことがある。結果として、仕事が翌朝に溜まってしまう」

 パリ大学のグザビエ・ジュニゴ社会学教授は、ラジオ局「フランス・キュルチュール」の番組で、「必ずしも、(仕事を忘れ)思考をオフの状態にしておくことが良いとも言えない。次にメールを開けた瞬間にもっとストレスになる可能性もある」と指摘した。

 大手食品会社の元幹部、ジャン=ジャック・フレッジ氏(51)は、「従業員をデジタルハラスメントや燃え尽き症候群から守るためには画期的な法だ。しかし、立法者側がどれだけ各企業のマネジメントを理解しているかは、甚だ疑問だ」と示唆した。さらに「時差のある海外企業と取引があれば、この法自体がナンセンスになる」と釘を刺した。

 今回の法律は、そもそも勤務時間外に残業することに対して、フランス人が日本人以上に抵抗感を抱いているからこそ成立した法律だと言えるのではないか。

 労働時間を減らし、仕事から解放される時間を多く持つことが、果たして幸福の証なのか─。フランス人と日本人の労働に対する考え方には、根本的な違いがあるのかもしれない。

  
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◆Wedge2017年3月号より

 

 

 

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