「やっと内定がもらえてホッとしています」
大手百貨店から内定をもらったばかりの2011年卒の学生は、疲労を浮かべながらも安堵の表情でこう言った。例年、5月中には大手企業を中心に多くの企業で採用活動は終焉に向かう。「就職氷河期の再来か」とも言われる昨今、厚生労働省と文部科学省の調査『平成21年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査』では、2月1日時点での内定率が80%と、96年より行われている同調査で過去最低となった。
もう少し詳しく学生に聞いてみた。例えばどんなことが大変だったのか。「とにかく活動期間が長すぎます。3年生の6月には就職支援サイトのインターンシップのページがオープンするので、実質そこがスタート。1年近く活動し続けるのは心身ともに本当に辛いんです」
インターンシップとは、元々は欧米などで大学生が数ヶ月にわたり企業で実際に仕事に取り組み、報酬とスキルを手に入れるというもの。経験優位主義の欧米ならではの文化と言えよう。一方、日本には「就職協定」が存在していたため、企業が学生と接点をもつことが難しかった。その協定が1996年に廃止され、97年には現在の文部科学省・経済産業省・厚生労働省の3省が連携し、正式にインターンシップの推進に努めることを発表した。
日本でインターンシップが広まった理由
ただし、それから急速に広まってきたわけではない。初期は外資系企業が一部の上位校をターゲットに行っていた程度で、それが少しずつ大企業を中心に広まっていった。
ポイントとなるのは、2005年頃から始まった売り手市場の状況であろう。売り手市場では良い人材の取り合いとなるため、企業は早く動きたい。その頃から、一般的に3年生の夏に行われるインターンシップがメジャーになってくる。
通常、大手就職支援会社のサイトは大学3年生の10月1日が解禁日だ。ただし、前出の学生が述べたように、ほとんどのサイトで6月にはインターンシップについてのページがオープンする。エントリーのピークは6月、参加のピークは8月となっており、毎日コミュニケーションズが2011年卒の学生へ実施した調査では、インターンシップの参加率は、3年生の10月時点で48.7%と、約半数の学生が何らかのインターンシップに参加しているということが分かった。