「最近ではインターンシップに応募する学生の数が増えすぎたのか、企業から『インターンシップへの応募者数が予想をはるかに上回ったため、書類選考にかかる日数が予定より長くなる』といった趣旨の連絡がきたこともあった」と学生が教えてくれた。企業側も相当な負担であることが想像できるが、応募者数が増えることによって選考が厳しくなれば、学生側の負担も増える。「先輩の話を聞くと、以前は書類1枚に面接1回程度で決まったが、最近では本選考と同じぐらいの書類の量と面接の回数を課す企業もあるようだ」という声もあった。買い手市場の中で、他の学生に出遅れてはならないという心理がはたらくから、今や学生は、3年生の6月から就職活動を開始していると言わざるを得ない状況のようだ。
就職活動の早期化・長期化が懸念されている昨今、インターンシップはその一因となっていると言っても過言ではない。ではそのインターンシップ、実際にどんな内容なのだろう。
短期化するインターンシップ
本来のインターンシップは「就業体験」、つまり企業に入って実際に仕事に取り組んだり、社員の外回りに同行したりして仕事の様子を見るというものが一般的だった。学生と企業の相互理解のためにはやはりある程度の期間が必要となり、1、2週間~数ヶ月単位で実施することが通常だった。しかし、その準備には膨大な時間がかかることはもちろん、実施中も現場社員に大きな負担がかかる。ある企業では数年前に1週間のインターンシップを実施したが、通常の業務に差し障りが出るということもあり、翌年からは実施を見送った。「成果はもちろんあったと感じるが、それ以上に次年度も同じものを実施する手間の方が重くのしかかった」と担当者は述べた。
そこで、最近は実施期間が「短期化」の傾向にあるという。前出の毎日コミュニケーションズや就職支援会社ジョブウェブの調査でも、学生が参加したインターンシップの最も多い実施期間は「1日」であり、6割~8割に上った。ジョブウェブ代表・佐藤孝治氏によると、「数週間のインターンシップは、選考から実施まで手間がかかる上、受け入れる学生が限られる。そこで、1日完結型のインターンシップと併用するケースが増え、さらには1日のもののみにしてしまっている企業が増えたと感じる」ということだ。
この1日完結型インターンシップ(1dayインターンシップとも呼ぶ)は、内容が実に多様だ。会社説明会、業界研究、グループワーク、ビジネス体感ゲーム、社員交流…。長期の場合よりもたくさんの学生を受け入れられ、準備の手間も減るため、企業にとって実施しやすい。しかし、上記の内容を見るだけでも、本来の「インターンシップ」からはどんどんかけ離れてしまっていることが分かる。
期間が短くとも、真剣に学生と向き合っている企業ももちろんあるはずだが、企業にとってのインターンシップは、「学生に自社を就職先として早くから意識させる」という広報活動の側面があることもまた否めない。そうすると、ライバル企業が実施している中で自社が行わないわけにはいかなくなる。これもインターンシップが広まってきた一つの大きな要因であろう。
「遊びたいけど内定はほしい」
また、インターンシップの短期化について学生はどう感じているのだろうか。
「学生の本音は、『できれば在学中は遊んでいたい。でも内定はほしい』ということ。極端かもしれませんが、その証拠に多くの学生は内定後にインターンシップなんてしない。本当に働くことを体験したければ4年生でもインターンに取り組むはずではないだろうか」
こう語るのは、ジョブウェブの調査「2011年度卒学生が選ぶ人気インターンシップランキング」で1位に輝いたライブレボリューション(以下LR)取締役の金子真歩氏である。