2024年4月25日(木)

赤坂英一の野球丸

2017年5月24日

 そこで思い出したのが、巨人のケーシー・マギーと高橋由伸監督である。マギーはオープン戦まで打棒が振るわず、「これなら村田修一を使った方がマシ」と主張するメディアや評論家が続出。ネット上にも「村田が可哀想だ」というファンの声が溢れていた。そうした雰囲気に敏感なマギーは、自分がチームにとって邪魔な存在になっているのではないかと、来日当初から気に病んでいたという。

マギーとエルドレッドの場合

 それならばと、高橋監督は開幕前、「おれがマギーを信頼して使うと決めて使ってるんだから、余計なことを気にする必要はない」とマギーに直接助言。「おまえはプロとしてベストを尽くしてくれればいい。お互い割り切っていこう」と諭したという。これがどれほどプラスに働いたかは、マギーの3割台の打率が物語っている。

 首脳陣の信頼と気遣いに応え、大活躍している外国人と言えば、広島のブラッド・エルドレッドを忘れてはなるまい。来日7年目の今季は本塁打王争いのトップを走り、外国人選手としてはチーム歴代2位の通算112本塁打もマークした(1位はジム・ライトル)。

 そのエルドレッドは来日2年目の13年、一度は球団に解雇を通告されながら、当時の監督・野村謙二郎の要望で残留が決定。クビがつながったことを電話で知らされた途端、号泣したという逸話が残っている。右膝半月板を手術した15年は、山口県岩国市由宇町にある二軍の球場で黙々とリハビリに励んでいた。チーム事情で二軍暮らしを強いられることがあっても不平不満を口にしない。

 日本人以上のパワーを誇る外国人選手にも、実は日本人以上にナイーブな神経の持ち主が少なくない。彼らを生かすも殺すも首脳陣の接し方、使い方次第なのだ。


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