「二刀流」の大谷翔平がボロボロである。事は連覇に黄信号のともった日本ハムだけの問題ではなく、大谷の参戦を待ち受けるアメリカのメジャーリーグ、さらには大谷を目標に頑張っているアマチュアの選手たちにまで影響が及びそうな雲行きだ。
とにかく大谷の状態はひどい。最初は昨年10月、日本シリーズ第4戦で発症した右足首の痛みだった。原因は三角骨という過剰骨、つまり余分な骨で、これまでの成長過程で骨の結合に不具合が生じ、足首の内部に突起状になって残っているもの。足首に過度な負荷がかかると痛みを発する厄介な症状で、手術して除去するとなると、野球ができる状態に回復するまでに3カ月はかかるという。
大谷と栗山英樹監督は手術を回避する決断をくだし、すでに出場の決まっていたWBCへの参加も辞退。投球する際に右足首に痛みが出るため、しばらくは打者のみの調整に専念していた。オープン戦序盤、大谷はすこぶる打撃好調で、〝仮病疑惑〟さえささやかれたほどだったが、開幕直後のオリックス戦で、今度は左太腿裏側(大腿二頭筋)に肉離れを起こしてしまう。
肉離れが完治し、復帰までに要する時間は6週間と診断された。そのため千葉県鎌ヶ谷市にある二軍施設でリハビリに専念することになった矢先、さらにインフルエンザに感染し、一時寮からホテルに隔離されている。
今後、肉離れが治って前半戦期間中に打者限定で復帰したとしても、投球の妨げとなる三角骨は右足首の内部に残ったままだ。プロ入りして5年間、ほとんど故障知らずだった大谷の肉体に蓄積していた疲労が一気に噴出したような感もある。このままでは、今季中の「二刀流復活」だけでなく、このシーズンオフに実現するはずだったポスティングシステム(入札制度)を使ってのメジャー移籍も白紙になりかねない。
そうした事態に、早くもプロ野球OB評論家から批判の矛先が向けられている。大谷が肉離れを起こした翌9日にはさっそく、かねて二刀流に疑問を呈していた張本勲氏が、TBSの情報番組〈サンデーモーニング〉で「選手生命がダメになるかもわからん。なんで完治させるために治療に専念させなかったのか」と栗山監督を指弾。同番組にゲスト出演していた中畑清氏も、「栗山監督は間違っていると思う」と斬って捨てた。