2024年12月22日(日)

赤坂英一の野球丸

2017年5月17日

 鳴り物入りでプロ野球の門をくぐった大卒新人投手たちがどうもピリッとしない。その最たる例が昨秋、ドラフト会議の1位指名で5球団が競合、ソフトバンク・工藤公康監督が当たりクジを引いた田中正義(創価大)である。開幕して1カ月半以上、一軍はおろか二軍でも実戦で登板できていない。「こんな調子では使い物になるまでに2年はかかる」と首脳陣のひとりはため息をもらす。

(iStock)

 田中の外れ1位で5球団が競合、ロッテが射止めた佐々木千隼(桜美林大)はどうか。4月6日に本拠地・ZOZOマリンスタジアムでの日本ハム戦でデビューし、5回を3安打1失点に抑えて初勝利を挙げた。が、その後は3試合で3敗と地力のなさを露呈。二軍でさえ3試合で0勝2敗、防御率5・40。一軍に再昇格し、満を持して登板した今月11日の楽天戦も3回4安打3失点とプロ入り最短でKOという体たらくである。

 広島の外れ外れ1位・加藤拓也(慶大)もよかったのは最初だけだった。4月7日、本拠地・マツダスタジアムでのヤクルト戦に初先発し、9回1死までノーヒットノーラン、2安打1失点で初勝利を挙げたときには「末恐ろしいルーキーの登場」と騒がれている。

 しかし、それからは4試合に投げて0勝3敗。しかも、4月28日のDeNA戦は3回3分の2で4安打5四球3失点。5月5日の阪神戦は4回3分の1で3安打5四死球1失点。2試合続けて制球難をさらしたあげく、5回と持たずにKOされ、ここで二軍落ちが決まった。初勝利をマークした試合でも7四球を出し、5試合で計30四死球を記録しており、こちらも前途多難と言わざるを得ない。

 ここ数年、ドラフト1位で入団しながら、主力に成長できない大卒投手が目立つ。とくに期待を裏切ったのが10年のドラフト1位でプロ入りした〝早大トリオ〟。昨年までの6年間で、日本ハム・斎藤佑樹が14勝20敗、防御率4・02。西武・大石達也は一軍昇格に2年かかり、実働4年で2勝6敗8セーブ6ホールド、防御率3・59。最も頑張っている広島・福井優也が28勝30敗、防御率4・24で、今季も2試合で1勝1敗、防御率が6・75と相変わらずゲームをつくれない。

 13年のドラフト1位にしても、この3年間で広島・大瀬良大地(九共大)が16勝17敗2セーブ、防御率3・64。ヤクルト・杉浦稔大(國學院大)が6勝7敗、防御率5・00。阪神・岩貞祐太(横浜商大)も12勝14敗、防御率3・28にとどまっている。

 11年のドラフト1位で、5年目の昨季16勝で最多勝のタイトルを獲得、優勝にも貢献した広島・野村祐輔(明大)は評価できる。とはいえ、5年間で2ケタ勝利は2シーズンだけで、14年は7勝8敗、15年は5勝8敗どまりで二軍落ちも経験。「今年も10勝以上挙げて2年連続2ケタ勝つぐらいでないと、カープの先発の柱になったとは言えない」というチーム関係者の厳しい声もある。


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