2024年12月13日(金)

赤坂英一の野球丸

2017年5月10日

 アメリカのメジャーリーグは2014年から、監督が審判の判定に異議を申し立てる場合、ビデオ判定を要求できる「チャレンジ方式」を導入している。両耳に大きなヘッドセットを付けた審判が、インターカムでビデオ判定員に確認を求める光景は、NHK-BSのテレビ中継で日本のファンにもすっかりお馴染みとなった。これによってセーフ、アウトの判定などが覆り、勝負の趨勢に重要な影響をもたらすことも少なくない。

(iStock)

 ただし、無制限にチャレンジが連発されると試合の長時間化につながるため、いくつかの規制が設けられている。①権利行使は原則として6回までに1度、7回以降は試合終了までに2度を上限とする、②ただし、異議が認められた場合は、最高2回まで再度チャレンジができる、③異議は判定が下されてから30秒以内に申し立てなければならない、④チャレンジから2分以内に正否の判断がつかなければ判定はそのままとなる、などだ。

 この「チャレンジ方式」を日本のプロ野球も導入してはどうか、という声がいま、俄に高まっている。きっかけは4月19日、広島−DeNA戦で広島・緒方孝市監督が審判に猛抗議、暴言があったとして退場処分になった一件。この試合の6回に田中広輔が、7回には小窪哲也が、いずれもショートゴロで一塁アウトと判定された。が、どちらも再生映像を見ればわかる通り明らかなセーフ。こんな誤審を2度も続けられて黙っていられるか、と緒方監督がブチ切れたのだ。

 日本では現在、①フェンス際へ飛んだ打球が本塁打か、及びヒットかフライアウトか、②本塁上のクロスプレーにおいてコリジョンルール(捕手が走者の走路を妨害した場合にアウトとする規則)に照らした場合、セーフかアウトか、という2点に限ってビデオ判定が行われている。ただし、審判自身が必要と認めたケースのみで、メジャーのように監督の異議を受けて確認しているわけではない。

 MLBのテレビ中継でチャレンジを見慣れたファンの目には、いまの日本のやり方はいかにも時代遅れに映るはずだ。アメリカでは、監督が抗議に出るとただちに審判が集まり、ヘッドセットをつけて速やかに結論を出している。さすがはMLB、われらがNPBも一日も早く、あの合理的な最新鋭のシステムを導入するべきだ、と私も思う。

 判定に猛抗議して退場処分になった経験を持つ元監督の評論家もこう言った。「簡単なことじゃないか。試合を中継しているテレビ局に、モニターで再生映像を見せてもらえばいいだけなんだから」と。


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