オガールベースのビジネスホテル内
さらに2014年7月には、広場をはさんだ向かい側に、ビジネスホテルやバレーボールコート、居酒屋などが入る「オガールベース」が誕生した。
地元の特産品や、魚介類など生鮮食品を扱う「紫波マルシェ」は、レジ通過者だけでのべ約27万人(2年度)を超えた。図書館などオガールエリアの利用者は、年間のべ80万人に達する。
わずか3万3000人しかいない紫波町で、そんな施設を作って人が集まるのか。当初はそんな不安もあった。だが、そこには大きな発想の転換があった。紫波町を中心に半径30キロの円を描くと、そこには盛岡市や花巻市、北上市までがすっぽりと入る。そこには60万人が住んでいる。60万人の商圏をどう取り込むかを考えたのだ。
地元を中心とした新鮮な食材が並ぶ「紫波マルシェ」
サッカー場には岩手県フットボールセンターを誘致した。また、駅前に車を駐めて盛岡などへ通勤する人のために、24時間100円で駐められる「パーク&ライド駐車場」を設置。人が集まる場を作り上げる工夫を重ねた。実際、図書館の来館者の25%は町外者が占めている。
オガールベースに日本でも珍しいバレーボール専用体育館を作ったのにも、岡崎さんの熱い思いが込められている。実は、岡崎建設を中心とする地元のクラブチーム「岡崎建設Owls」は2014年の全日本6人制バレーボールクラブカップ男子選手権大会で初優勝している。紫波を日本のバレーボールのメッカにしようというわけだ。
バレーボール専用体育館
さらに、近く紫波町役場が移転してくる予定で、現在、庁舎を建築中である。高級感の高い分譲住宅も売り出しており、人気を誇っている。次々とプロジェクトが実現していく。「自分自身がやる事になるとは思わなかった」と大学院で学んだ鎌田さんは言う。