2024年12月15日(日)

対談

2015年2月18日

 昨年末の衆院解散総選挙により、「第2期」を迎えることになった安倍政権によるアベノミクス。その目玉として掲げられるローカルアベノミクス=地方創生の理論的支柱となっているのが、元岩手県知事で日本創成会議座長を務める増田寛也氏だ。その著書『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)は「このままでは896の自治体が消滅しかねない」と訴えかけ、大きな衝撃とさまざまな議論を呼んでいる。

 「消滅」の真意や東京一極集中の是非、にわかにクローズアップされてきたコンパクトシティ構想の実現可能性について、エコノミストの飯田泰之氏が聞く。

異なる「地方」観と異なる政策が必要だ

飯田:ご著書の『地方消滅』については類書や批判本が書店店頭に溢れていて、もはやひとつのジャンルになってしまった感さえあります。これだけ多くの方にインパクトを与えた背景には、現内閣の掲げる「地方創生」以前から、地方が危機に瀕しているという問題意識が広く共有されていたことがあったのだと思います。その分、このタイトルは衝撃的でしたし、やはりそうか、と多くの人に再認識させるものでした。

 お話をうかがっていく前に確認させていただきたいのは、この本が前提としている「地方」のスケール感です。というのは、人によってこの言葉でイメージする人口規模や広さは、大きく異なる印象があります。

増田寛也氏

増田:厳密な定義ではなくあくまでも指標ですが、まずは人口40万人以上の都市が地方経済の牽引力にならないと厳しいという実感を持っています。それらが活躍すれば、その近隣の5万~10万人都市や中山間地域でも、波及効果や機能連携で住みやすくなりますし、20万~30万人都市であれば40万人都市との共生で、独自の産業や雇用を生み出すこともできるでしょう。サービス産業が成立するかどうかがひとつの試金石になります。

飯田:牽引役が必要だということですね。

増田:そうです。それによって日本の人口の大きな部分を抱えている5万~10万人都市も、住みやすい地方であり続けることが可能になるでしょう。

 中山間地域、5万~10万人、20万人以上、40万人以上、それぞれに機能分担をして別の施策を考えていくべきだと思いますが、この議論をすると「20万人以下は捨てろということか」という批判を受けやすい。それはまったくの誤解で、実際にこの本では全国の市町村区の将来人口推計を掲載して、モデルやスケールを分けて考察しています。


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