菅首相は8月27日になって、東京都大田区の中小企業視察に際して、緊急円高対策を打ち出すと発表したが、危機感を抱くのが遅すぎる。日銀も8月10日の金融政策決定会合で金融政策を変えなかった結果、円高が進んだことに慌てて、月末に追加緩和を決めた。これまた遅きに失した。
その間に企業の景況感は下振れし、国内景気には腰折れ懸念も広がり出した。最大の被害者は猛暑の続くなか、企業訪問を重ねる大学生たちだろう。菅政権は遅ればせながら企業のインターン(就業訓練)を支援するなど雇用対策を打ち出したが、肝心なことは企業の国外脱出に歯止めをかけることだ。
奇策はいらない。円高に歯止めをかけ、企業の税負担を軽くし、余計な規制をなくし、企業が保有するキャッシュ(現金)を前向きの投資に使えるようにする。そんな当たり前の政策こそが求められている。
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