2024年11月22日(金)

オモロイ社長、オモロイ会社

2017年10月5日

農業ベンチャーとして初の上場

 和歌山県発で昨年6月に農業ベンチャー初の上場会社となった株式会社農業総合研究所。今までの流通形態にはなかった、生産者である農家と消費者とを「農家の直売所」を通じて生産者の見える化を実現して安心して野菜や果物を購入できる仕組みを、ITの力を利用して全国の有力スーパー1000店舗に展開しています。また同社は日本郵便、NTTドコモ、佐川急便、JAL等々と国内の名立たる大企業や地元紀陽銀行はじめ、全国の多数の地方銀行との提携で事業拡大をしています。また、昨年「Japan Venture Awards」で最高位賞である経済産業大臣賞を受賞されている、同社代表の及川さんを尋ねて話を聞きました。

農業×IT、スタート

 当初「農家の直売所」を展開していく中で大きな障壁となったのが、各スーパーでのバーコードの形式が全て違っていたことです。農家さんに「好きなスーパーでの販売」を標榜していましたが、「このスーパーには、このバーコード発券機」とバラバラ。そこでシステム会社に全国のスーパーのバーコードに対応できるシステムの開発を依頼し、農家さんが自分の値付けで好きなスーパーを選択して販売できるようにしました。

 現在では、農家さんが出荷の際に、自宅に居ながらにして、バーコードの発券、野菜の相場情報、販売情報に至るまで、全国のスーパーの情報を事前に入手できるネットワークを構築しています。

 2017年8月末現在、6830人が農業総合研究所に出荷を行い、992カ所のスーパーマーケットが販売の取り扱いを行なっています。その物流の要になっているのが全国に69カ所ある集荷場、こちらが農家とスーパーマーケットを繋ぎ、原則1日で店頭に並び(既存の流通は3日〜4日)、低コストで物流を全国に展開する都市型農産物流通プラットホームを構築しています。

農業総合研究所の店舗売場

 この物流プラットホームを利用することにより生産者は、販路拡大と収入の増加を行うことができます。一方、スーパーマーケットは、手間を掛けずに、集客力のアップ、販売ネットワークを増やすことが出来、店舗の魅力アップにつなげることができます。そして、消費者は、新鮮な野菜が購入できる、という三方よしを実現させました。

 上場を目指すにあたっての事業拡大の大きなキーワードは2つのプラットホーム、農業×ITと全国の低コスト物流網の確立でした。この2つの展開を広げ、国内だけでなく、海外へも視野に、事業拡大を狙っています。例えば、簡単に輸出できる仕組みの構築や国内プラットホームを海外で展開することも考えています。

 順調に業績を伸ばし、昨年6月に東証マザーズに農業ベンチャーとして初めて上場。2016年8月期売上高11億9500万円(流通総額55億2200万円)、従業員は125人(役員・パートを含む)に成長しています。

 今後は、農業革新を目指す上でも、(農業の産業化→産業として強い農業)、(農業の構造改革→ありがとうが届く構造)、(農業の流通革命→時代に合致した流通)を実現していくと仰っています。


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