2024年11月24日(日)

オモロイ社長、オモロイ会社

2017年6月11日

 ニューヨークのタイムズスクエアから5分ほどの場所にショールームを構え、この度デンマーク外務省の国家プロジェクトに認定された会社が大阪にあります。I&Cという会社です。ありそうでなかった電動IoT家具「Robotics Design Furniture」を展開しています。そして、家具デザインの聖地であるデンマークの国家プロジェクトになぜ認定されたのか、社長の佐田幸夫さん(41)に話を聞きました。

LAP昇降のイメージ

他人と同じことはしない

 大学を卒業後、社会人最初のスタートは、リフォーム系の会社でした。佐田さんの同期が180名。その翌年400名、またその翌年900名と企業として急激な拡大期に入社したそうです。営業成果を求められる厳しい環境下で、周囲の同期は毎日飛び込み営業に明け暮れる中「他人と同じことはしない」と最初から決め、飛び込みはしない、少ない面談件数で成果を上げる方法を自分で編み出し実践しました。例えば、ハウスメーカーが開発した大型分譲地へ営業しました。同築年数の家が立ち並んでおり、施主に気に入って頂き一件受注出来ると、口コミやご紹介の連鎖で、2軒、3軒、5軒と一気に広げることができたそうです。また、郊外地域を営業した際は、高速道路沿いやゴルフ場の近所の住宅で、ゴルフ場に土地を貸しているような大地主を開拓し、即決で数百万単位のビックオーダーを受注することができたそうです。

 新人2カ月でトップセールス、3カ月後には拠点を任される責任者に。この会社で辞めるまでの4年間、面接、採用、マネジメント等々多様な経験を積み部下も20代半ばで30名ほど抱えるプレイングマネージャーになっていたそうです。その後、ご実家の木製建具製造会社の専務となり、事業拡大を行い、機動に乗ってきた4年後に独立し、2008年に起業に至ります。社会人スタート時から、起業家目線での活動をされていたことが理解できます。

 起業された時に、真っ先に「従来通りやりたくない」ということを決めて、事業をスタート。大きなイノベーションが起きていない家具インテリア分野で、人々の暮らしを変える新しい市場を創造していきたい、そして海外とも比較されないプロダクトを創ること。2010年には地震から家を守る(躯体補強)収納家具「TAORANGER」の特許を大学、設計会社と共同出願、2014年には特許登録認定になりました。

 2012年には、「電動昇降洗面台」の製作を考え始め、大阪市のベンチャー企業育成プログラムに応募、13年9月に認定、ハンズオン支援を受けることで開発スピードを上げることを実現しました。13年11月に試作品が完成、14年6月には受注を開始、15年初めには納入もスタートと、かなりの速度で事業化を進めています。

 海外向けに制作された、動画はこちらです(昇降洗面台についてもご覧いただけます)。 


 起業から9年が経過して、サラリーマン時代からの営業力、機転、高いビジネススキルを駆使して、売上利益ともに順調に推移しているそうです。大阪市の支援事業で同社の側面支援をされている大阪産業創造館・おおさかナレッジ ・フロンティア推進機構チーフプランナーの長谷川新氏に、佐田社長についてお聞きすると、「最初から世界を意識している点」、「真似されたと文句を言う前に、世界に出て市場を抑えようという心意気がある人」と評価されています。

 TOTOの「おしり洗浄器(ウォシュレット)」の発売当時、売れると思わなかったと佐田さんは語ります。そこから35年後、4000万台を突破する販売実績に、世界で誰も上手く行くと思わないものが根付いていく。それと同様に、電動IoT家具(洗面台・キッチン関係まで幅広く)は未だ世界に市場として存在しないプロダクトであり、そこに市場を確立する自信を持ちチャレンジしています。

 現在は売上5億円程度、世界展開をキッカケに、早い段階で、売上100億を目指したいと佐田さんは仰っています。競合環境について、家電メーカー、インテリア業界、介護・医療業界とさまざま業界と近しい状況ではあるものの、それぞれが今まで踏み込んでこなかった「電動IoT家具市場」には競争相手は大手も含め不在の状況、その結果が、家具においてヨーロッパの先端を行くデンマークから国家プロジェクトに認定されることに。モノづくりで世界を目指す希少な会社であると感じました。


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