2024年12月22日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2017年11月28日

今までの「不動産投資型クラウドファンディング」との違い

 さて、法改正の前からも「不動産投資型クラウドファンディング」サービスは、日本国内に複数存在しています。もっとも、既存のサービスの多くは、集めた資金を不動産事業会社などに融資することで間接的に不動産に投資するスキーム(貸付型のスキーム)を取っています。不動産プロジェクトに直接的な投資をするというわけではありません。

 そして、そのような貸付型のスキームの場合には、貸金業法との関係で資金提供者にプロジェクトの対象となる不動産や貸付先などの詳細が知らされないことが多く、投資家としても個々の不動産の特徴に応じた投資判断が難しいのが実状でした。

 今般の法改正により、不動産投資型のクラウドファンディングにおいて、個々の不動産の特徴を踏まえたプロジェクトの説明を行ったうえで、投資家に対して出資を募ることが、以前よりは容易になったといえるでしょう。

クラウドファンディングは空き家問題の有効打となるか

 このような規制緩和がされたことで、クラウドファンディングは空き家問題に対する有効打となることができるでしょうか。この点に関連して、クラウドファンディングに出資する動機のなかには、「プロジェクトの理念への共感」などといった情緒的な動機が少なからず含まれていることが指摘されています。クラウドファンディングに出資する層の中には、単に経済的な利益ばかりを求めているわけではない層が相当数含まれているということです。

 そうすると、例えば「ふるさとの街を応援したい」という層が、地元の古民家などのリノベーション・プロジェクトに対して、クラウドファンディングを通じて積極的に出資するということも考えられるでしょう。また、クラウドファンディングの場合、遠く離れた場所の投資家にも出資を呼びかけることが可能です。クラウドファンディングは空き家問題に対する有効打となる可能性を十分秘めていると言えそうです。

 一方で、今回の改正で想定されている地方の中小の不動産事業者の多くは、これまでクラウドファンディングや不動産特定共同事業について無縁でしたので、現状ではノウハウが蓄積されていません。

 また、小規模事業として不動産特定共同事業を行う場合であっても、事業者には一定の財産的基礎や人的体制が求められますので、ハードルは依然として低くありません。勢いに乗るクラウドファンディングの波が、そういったマイナス面を乗り越えるほどの大きな波になるのかどうかが、今後の注目点だと思われます。

  
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