2024年5月17日(金)

佐藤忠男の映画人国記

2010年11月11日

 JJサニー千葉(旧芸名千葉真一)は生まれは福岡市だが育ったのは4歳から千葉県君津市。だから千葉真一と名乗った。オリンピック体操選手志望だったのが、俳優になってアクロバット的なアクションで一家をなした。

 敵役専門だが、凄み方になんとなくユーモアがにじみ出るところが愛嬌になって愛された高品格(たかしなかく・1919~94年)は海上郡飯岡町(現旭市)。「麻雀放浪記」(1984年)では重要な脇役で演技賞をたくさんもらった。

 いまやトップクラスのスターである木村拓哉は千葉市育ち。テレビが主だが映画でも「武士の一分」(2006年)で好演し、最新作の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(2010年)では壮大なるストーリーを背負うヒーローを演じて甘い二枚目を超える気迫を見せた。広くアジアにも熱烈なファンがいる。

 阿部サダヲは松戸市出身。「パコと魔法の絵本」(2008年)や「大奥」(2010年)など、面白いキャラクターの性格俳優である。

 女優では名作「東京物語」(1953年)の母親役の東山千栄子(1890~1980年)が千葉市。おっとりして上品な女性の役では定評があった。父親は貴族院議員だったから本物の上流階級出身なのである。

 やはり千葉市出身で現役大活躍中なのが市原悦子。テレビの家政婦ものや映画でも今村昌平の「うなぎ」(1997年)の元ダンサーなど、下世話であけっぴろげな喜劇的な役が多いが、もともとの出身の新劇の舞台では、あの朗々とした口跡の良さを活かした格調高い翻訳劇の凛とした女性の役の多い本格派なのである。

広島原爆投下から10年後と現代に生きる2人の女性を通して、現在までに至る原爆の影響を描いた、「夕凪の街 桜の国」。麻生久美子は、原爆投下後の世界を生きる平野皆美を演じた。
©2007「夕凪の街 桜の国」製作委員会

 逆にドタバタ喜劇一筋にやってきて、ついには人生の苦味を知りつくしたかのような複雑な心理も演じる女優になったのが松戸町(現松戸市)出身の清川虹子(1912~2002年)である。

 小山明子は市川市出身。松竹大船のアイドル的なスターから、大島渚監督と結婚して社会派の苛烈な役も体当たりでこなす風格の大きな女優になった。

 麻生久美子は山武郡山武町(現山武〔さんむ〕市)の出身。「カンゾー先生」(1998年)の看護婦役の印象は鮮烈だった。「夕凪の街 桜の国」(2007年)など、着実に歩みを進めている。(次回は広島県)

 

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