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2018年3月8日

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「民泊がしやすい」環境を提供する自治体が登場するのか?

 こうして見るとなかなかに厳しい条例だが、実際にこれが遵守されているのか、違反者への法執行は実際に行われているのか、というとそうでもない。市の対策室が市内の民泊を行う人全てを管理するのは不可能に近い。例えばアパートの隣人、家主などから苦情が寄せられた場合に初めて調査する、という程度に留まっている。

 Airbnbのようなサイトでは年間の部屋の貸し出し日数などが記録されているはずだが、Airbnbでは「米捜査当局からの開示請求に関するガイドライン」として、現時点で正式に受理するのはカリフォルニア、デラウェアの2州のみ。また捜査当局は裁判所からの開示請求などを送付する必要がある。つまりAirbnbは年間90日以下の貸し出し、という制限を設けておらず、また捜査当局に対し情報を無制限に開示することもしていない。

 実はサンフランシスコ市の条例、定められたのが2015年だが、施行は今年1月だった。事前に自分の家を登録しなければならない、などの手続きが煩雑であるため、条例施行以来Airbnbを通して民泊を行う件数は一気に半数となった。サンフランシスコ・クロニクル紙によれば、それまでは市内におよそ1万件の登録物件があったが、現在は5500ほどになっている。

 世界を見ると観光地として人気のパリでは6万5000もの登録物件がある。こちらも最近になって条例が施行され、年間の貸し出し日数が120日に制限されたところ、登録件数が1万1000に減少した、という。条例による取り締まり強化の結果、民泊に旨みを見出せず撤退するホームオーナーが増えているようで、これは世界的傾向とも言える。

 しかし、ウーバーなどはタクシーに代わる存在として既に市民権を得ている。民泊はライドシェアよりも新しい分野であり、今後も様々な変化が起こり法律とも一定の折り合いをつけて定着する可能性も十分にある。米国内では民泊を完全に違法としている自治体もまだ存在し、連邦政府による制度作りを求める声もある。現在法制として最も進んでいるサンフランシスコに他の都市も合わせてくるのか、あるいは独自の「民泊がしやすい」環境を提供する自治体が登場するのか、など状況はまだまだ流動的だ。

  
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