赤坂英一の野球丸

2018年3月14日

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ラジオ中継は継続してないとしゃべれなくなる

 この傾向が進めば、いずれはニッポン放送や文化放送など他局もTBSに倣い、プロ野球中継を縮小する方向に向かうだろう、と見られている。ひとつの節目はプロ野球の〝ドリームチーム〟侍ジャパンが出場する2020年の東京五輪。これが終わったら、ラジオ中継がさらに激減するかもしれない。そうなると、かつては神宮の〝ひとり実況〟で鍛えたアナの職人芸や熟練の技術も聴けなくなる。現に、私と同世代の実況アナはこう言っていた。

 「ラジオの実況はテレビと違って、ある程度継続してやってないと、確実にしゃべれなくなる。テレビは画があるから、あえて黙っていることもあるし、つっかえても構わないでしょう。でも、音声だけのラジオは、試合の状況をすべて、リスナーの目に浮かぶように話す必要がある。ピッチャーが投げた、バッターが打ったに加えて、ランナーが走った、それに合わせて守っている野手がどう動いたか。全部わかるように話すには、ワンプレー、ワンプレーに反応できる反射神経、プレーの一瞬先を即座に予測できるカンも必要だよ。その合間に、解説者のプロ野球OBから面白い話を引き出し、中継を盛り上げなきゃいけない。こういう仕事は、ちょっと休んだだけでてきめんに神経やカンが鈍っちゃうんだ」

 そういう中継だったからこそ、私も子供のころから熱心に聴き入っていたのだ。ちなみに、DAZNのようなネット中継はほとんどの場合、試合の画像は球場から送られてくるが、実況や解説は現場の放送席ではなく、スタジオでアナや解説者がモニターの画像を見ながら行う。いずれはこういうスタイルがスタンダードとなるのかもしれないが、同世代の別のアナは、「おれには馴染めないなあ。実況は現場の情報だけじゃなく、雰囲気や臨場感を一緒に伝えるものだと思うからさ」と話していた。画像に情報をつけるだけなら、アナには技術も芸も必要なく、極端な話、ネットの消耗品になってしまう。やはり、ラジオ中継が続いている間は、そちらを聴くとしよう。

  
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