2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月5日

 2018年3月8日、米下院外交委員会のロイス委員長は、北朝鮮問題に関する声明を発表した。丁度、トランプ大統領が金正恩との会談の受諾を発表した直後である。ロイス委員長の声明の概要を紹介する。

(iStock.com/marcello77/Tsekhmister/HStocks/Stable007)

 「金正恩がトランプ大統領との会談を求めてきたのは、米国政府が行ってきた制裁が効いてきた証である。我々は、圧力をかけ続けながら、さらなる外交努力を探ることができる。忘れてならないのは、北朝鮮の歴代政権は、繰り返し、対話を利用しては約束を破り、譲歩を引き出し、時間稼ぎをしてきた。北朝鮮は、こうして自らの核とミサイルを開発してきた。我々はこのサイクルを断ち切らなければならない。米国と韓国は肩を並べて、この脅威を平和的に終わらせるために必要な圧力を引き続きかけなければならない。そして中国も、その役割を果たすべきである。」

出典:House Foreign Affairs Committee ‘Chairman Royce Statement on North Korea’ March 8, 2018)

 エド・ロイス米下院外交委員会委員長は、カリフォルニア選出の共和党議員である。米朝首脳会談に向けて、引き続き圧力を北朝鮮にかけながら、外交的糸口を探る、トランプ政権の政策を、基本的に支持している。

 日米両政府とも、北朝鮮に圧力をかけたことで、北朝鮮が対話の姿勢を見せてきたと発言しているが、一方で、核戦力を完成させた北朝鮮が、その力を背景に平和攻勢をかけてきた、と見ることもできる。その意味では、今後の交渉は相当厳しいものになり、日本が求める核・ミサイル・拉致の包括的解決も、容易いものではない。

 ロイス委員長が韓国との連携を重視している姿勢は、米下院外交委員会のホームページで、上記と似たようなことを述べた3月15日付のロイス委員長の声明の上部に、韓国の康外相がロイス委員長らとにこやかに映っている写真を掲載していることからも容易に理解できる。


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