2024年11月22日(金)

日本の新常識

2011年4月4日

――若い人が政治に参加しないのは深刻ですね。

菅原特任准教授:よく若い世代が投票に参加しない、政治家になろうとしない、内向きだというような「若者叩き」がありますが、ここで説明したような構造的、制度的問題が背景にあるわけです。40代や50代でも「若手」と呼ばれ、下働きをさせられるような世界に、優秀な若者が近づくわけがありません。そんな魅力的でない政治に、若者が関心を持たないのも当たり前です。

 マスコミや評論家の中には、若い有権者が棄権したり、投票行動を変えたりすることを批判する人たちもいますが、それはおかしなことです。若いほど投票率が低いのは、政党や政治家、そして彼らの政策が、若い人にとって魅力的でないからです。まともな選択肢がない状況を放っておいて、「投票に行かないのはおかしい」と非難するほうが、よっぽど間違っていると感じます。

 だから私は、「選挙へ行こう」と呼びかける代わりに、今の選挙制度がいかに不均衡で、おかしな政治を生み出しているか、また、投票してこなかった人たちの埋もれている力が、いかに大きいかというようなことを指摘していきたいと思います。政治の側の制度や行動をかえていくことを念頭に置いています。その結果として政治が変わり、若い人も政治に関心を持ち、投票に行くようになればよいのではないでしょうか。

菅原 琢(すがわら・たく)
東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、博士(法学)。専門は日本政治、政治過程論。主著は『世論の曲解―なぜ自民党は大敗したのか』(光文社新書)。国会議員白書 http://kokkai.sugawarataku.net/ 更新中。


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