赤坂英一の野球丸

2018年6月6日

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田沢に続くアマ選手は現れていない

 今年31歳の田沢の場合、日本でプレーしようとしても、33歳まで待たなければならない。その年齢までマイナーで投げ続けて、どのぐらい本来の力を維持でき、どの程度の条件で契約できるか。メジャーに行ってそういうリスクを背負いたくなかったら、最初は日本のプロに進んでおいたほうが無難だぞ、という一種の〝脅し〟だ、と言っては言い過ぎか。これが効いたからかどうか、その後はしばらく、田沢に続くアマ選手は現れていない。

 ところが、この「田沢ルール」が作られてから3年後の12年、「ぼくも直接メジャーへ行く」と表明する超大物の高校生が現れた。それが、いまエンゼルスで空前の大ブームを巻き起こしている花巻東高校の大谷である。

 当時、すでに二刀流で注目されていた大谷のメジャー挑戦宣言に、NPBも高野連も驚愕した。両者の首脳部が大谷に「田沢ルール」を当てはめるべきか、話し合いを持った結果、大谷を例外としないことで意見が一致。日本高野連・竹中雅彦参事が、大谷がメジャーに行った場合は「田沢ルール」を適用する、との見解を示している。

 歴史に「たられば」はない。が、もし日本ハムが12年のドラフトで大谷を1位で強行指名せず、大谷が花巻東から直接メジャーへ行っていたら、と思うと、大半の球界関係者がぞっとするはずだ。日本のファンは大谷のプレーを見る機会を奪われた上、大谷が日本でプレーしようにも3年間締め出されていたかもしれないのだから。日本ハムの大英断は、彼に「田沢ルール」が適用されるという悪夢から日本球界を救ったのだ、とも言える。

 これから先も、大谷に刺激を受けたアマの有望選手が、「直接メジャーへ行く」と言い出す可能性は低くはない。そのときのためにも、鎖国制度のような「田沢ルール」は一日も早く撤廃するべきだ。そういう選手をNPBでプレーさせたいのなら、日本ハムのように個々の球団が契約を結ぶための努力をすればいいのである。

  
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