2024年7月16日(火)

Washington Files

2018年6月11日

 さらに問題なのは、こうした一連の内外政策について大統領はそのたびに「アメリカ・ファースト」だと説明してきたものの、果たして現実にアメリカの真の国益を反映しているかどうかだ。

 少なくとも、ギャラップ、ピュー・リサーチなど有力世論調査機関の、これらの政策に関する調査結果でみるかぎり、国民の過半数はどちらかといえば懐疑的で、「支持者」は40%前後にすぎない。たまたまこの数字は、政権発足以来のトランプ大統領に対する支持率とほぼ同水準にあり、換言すれば、トランプ氏が言う「アメリカ・ファースト」の「国益」とは、必ずしも国民多数の利益とは同一ではないことを意味している。

縁故主義と腐敗政治

 内政面でも、親族、知人たちのビジネス取引を優遇させる縁故主義と腐敗政治がマスコミの厳しい批判にさらされている。

 去る4月17日付けのワシントン・ポスト(電子版)によると、大統領が就任以来、自らはいったん会長兼社長職から身を引いているはずの不動産ビジネスを主体としたコングロマリット「トランプ・オーガニゼーション」は、政府関連機関、有力企業、外国政府関連事業などから「特定不可能な諸利益」を得ており、トランプ氏自身も現在は、息子2人に経営を任せつつも、同社に残した個人資産は未清算のままだという。

 このほか、トランプ大統領の常態化した“ツイッター政治”も「ニュー・ノーマル」の典型だろう。

 ボストン・グローブ紙の追跡調査によると、大統領は昨年1月就任以来の11カ月間だけで、2417回もツイートしており、そのためだけにホワイトハウスで費やした時間は40時間にも及んでいる。しかも発信時間は全体の3分の1が午前5時から午前8時の早朝だという。

 さてこのような実体面もスタイル面でも破天荒ぶりで鳴らしたトランプ大統領だが、12日に迫った史上初の北朝鮮金正恩労働党委員長との会談では、どんな成果を引き出すのか、あるいはどんな結末を迎えるのか、世界のマスコミの関心はますます高まっている。

  
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