「首都圏の東京23区内の新築マンション価格は5550万円で、1990年ころのバブル期の3850万円を超えている。しかし、契約率や価格の推移を見ると不動産バブルは起きていない」
と、不動産コンサルタントの長嶋修氏は指摘する。東京オリンピッグ後に価格が下がるのではという予測に対しては「全くない」と否定するが、来年10月に予定されている消費税増税の影響は「思いのほか、大きいのではないか」とみている。
新築買えず、中古が人気
首都圏のマンション価格は、2013年から急速に上昇、17年末には不動産指数でみると33%も上がっている。
「これでは23区内の新築マンションは平均的なサラリーマンでは手が出せない贅沢品になっている。それを証明するように中古マンションに人気が出ている」
不動産経済研究所などのデータをみると、都内の新築と中古マンションの価格を比較すると2000万円以上の差がついている。長嶋氏は、
「ここまで価格差があると、中古を買って1000万円かけてリフォームしても、中古の方が安上がりという計算が成り立つ。以前は『人が使ったものは嫌だ』という見方があったが、最近はそうでもなくなってきている」
と、中古マンション人気の背景を分析する。
さらに日本の不動産市場は既に、三極化が起きていると分析する。
「都心の良い場所に立地する高価格の約15%のマンションは価格がさらに上昇する。中間価格帯の約70%はだらだら下落する。最安の15%は値下がりし無価値になっている」
その上で長嶋氏は「いま買うとしたら、上位15%の価値の落ちないものを買うか、70%の買うのなら価格下落について分かった上で買うか」のどちらを選ぶかだという。