9月3日、4日に北京で「中国アフリカ協力フォーラム」が開催され、中国とアフリカとの関係強化が強く打ち出された。 中国アフリカ協力フォーラムは、中国とアフリカ諸国との公式な国際フォーラムで、2000年以降3年おきに開催されており、各国の首脳と多くの経済人が参加している。今年は、アフリカの54か国のうち、台湾と国交を持つエスワティを除く53か国が参加した。
9月3日の習近平の基調講演の主要点は次の通り。
・13億の中国人と12億のアフリカ人民は運命を共にしている。
・中国は、アフリカに内政干渉せず、援助には一切の政治的条件を付けず、投資・融資において政治的利益を追求しない。他の国にもこれを見習ってほしい。
・我々は、覇権主義、パワーポリティクス、保護主義、一国主義といった課題に直面している。中国は、保護主義、一国主義に反対する。
・中国は、世界の国々とともに、人類運命共同体を構築することを望む。
・一帯一路を構築する。
・今後3年で「8大行動」(産業促進、施設の連結、貿易の利便化、グリーン発展、能力建設、健康衛生、文化交流、平和安全)を実行する。
・「8大行動」実施のため、政府間援助、民間の投融資などにより、アフリカに再び600億ドルを提供する(注:前回2015年にも同額の援助を表明、実施している)。これには150億ドルの無償援助を含む。
習近平は、6月に開催された外交方針に関する重要会議「中央外事工作会議」で、中国が今後のグローバル・ガバナンスを主導すること、人類運命共同体の概念を掲げること、一帯一路を推進することなどを表明するとともに、「途上国は中国にとり天然の同盟軍である」と位置づけた(7月19日付け本欄『自国中心の秩序構築を目指す中国』)。今回の中国アフリカ協力フォーラムでの中国の対応ぶりは、中央外事工作会議で表明された内容を具現化したものであると言える。フォーラムには国連のグテレス事務総長も招かれた。中国主導の国際秩序に国際的な正統性と権威を付ける意図であると思われる。